日曜日の夕方
日曜日の夕方。
リビングにいると外で話す人の声が気になる。
窓から外を覗くと、近所の中年の主婦が立ち話をしていた。同じ班の見慣れた顔だ。
目線を先に移すと、道の曲がり角では幼稚園児らしき子供達が遊んでおり、その近くに若いママが二人、時々子供に話しかけながらやはり立ち話をしていた。彼女達は見た事はあるものの名前は知らない。
その親子連れに混じるように、60代の主婦も道に出て来てその幼稚園児に話しかけている。
何を話しているのか分からないが、時々「わぁ~凄いね!偉いね!」と子供相手に大袈裟な声を出しているのが聞こえ、他人の子だが孫のように可愛がっているのだろうと想像出来た。
さらに逆の方向を見ると、今度は70歳手前であろう初老の男性が、植木の手入れをしていた。
首にタオルを巻き、黙々と作業をしている――と思ったら違った。
隣の同じ年代の男性が現れ、庭木談義が始まった様子。
二人とも片手には剪定鋏を持ち、ワハハハッと笑い声を上げていた。
そしてその奥の家の前では、自分の愛車を洗車している男性。
私の夫と同年代と思われるその男性は、休日にはいつも車の手入れをしている。余程大切にしているのだろう。
その男性も一人ではなく、小学生の男の子がバケツを持ち洗うのを手伝っていた。
日曜日の夕方。いつもの光景。
この雰囲気の中、外に出るのが億劫になる。
夕方なので犬の散歩に行かなくては…と思うものの、通りに誰もいなくなる時間帯を待ってしまう。
愛犬は尻尾を振りながら私が立ち上がるのを待っているというのに。
ようやく薄暗くなり、近所の人達の姿も見えなくなった19時。
そっと玄関ドアを開け、隠れるようにコソコソと散歩に出かけた。
誰もいない。
やっと静かになった。
そう思っていたのに道を曲がると…
また主婦が立ち話。
「こんばんは…」
小さな声で挨拶し、逃げるように小走りで愛犬を引いた。
日曜日の夕方。これからの季節は苦手な時間帯。
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