老人ホームは監獄?
先日、久々に知人と会った時、遺産相続の話になった。
(▶骨肉の争いの末の大金持ち)
彼女が法定相続分を受け取れる事になれば、老後資金の心配はない――という話になった。
「高級老人ホームに入る事が出来ますね」
私は言った。
彼女も私同様、結婚はしているが子供はいない。
私は彼女も当然、いつか老人ホームに入所するつもりなのだろう…と思い込んでいた。
だが彼女が言った。
「老人ホームなんて絶対嫌よ!入るつもりは無いわ」
私は驚いた。
そのセリフは子供がいる人にしか言えないと思っていたから。
子供がいない夫婦や独身者は、一人暮らしが困難な状況になれば、嫌でも施設に入所するしかないのでは?
私がそう言うと、
「ヘルパーを利用すればいいじゃない」と言う。
確かに、ヘルパーの手助けがあれば一人暮らしが出来るという程度ならそれも可能だろう。
だが最期までそれで済むとは限らない。
老人になれば、決まった時間の生活援助や身体介護だけでは済まない可能性もあると思う。
病院に入院させてもらえないが、一人で放っておくのも難しい…私の亡くなった祖母もそのような状況であった。
祖母は、排尿や排便が自力では困難になった。
オムツをすれば良いという話でもなく、1日に何度もトイレに付添い排尿を促す手助けが必要だった。
それは夜中でも早朝でも関係ない。とてもヘルパーが訪問してくれる時間を待つ事なんて無理だし、1日1回で済む事でもない。
私がそんな話を彼女にすると、
「そうね…確かに私の親は最期まであまり世話がかからなかったから、そういう老人になる事を想像していなかった」と納得したものの、
「それでも老人ホームは絶対に嫌」と、強い口調で言った。
彼女は、老人ホームは監獄だと言う。
密室に閉じ込められ、自由が奪われ、物のように扱われる。酷い場所だといつ殺されるか分からない――らしい。
そんな極端な…私は半分呆れて聞いていたが、彼女は真剣だ。
だが例えそうだとしても、他に頼る人もいないのだから諦めるしかないのでは?と私は言った。
すると彼女が言った。
「どれだけお金を払ってもいいから、お手伝いさんを雇うわ。子供が親を介護するように、自分が希望する通りにやってもらう」
あぁ…なるほど。
それなら最期まで自宅でいる事は可能だろう。
やはり金がある人は強いな…と思った。
金があればそんな風に解決出来る。金がなければどんな老後も受け入れ我慢するしかない。
それにしても…老人ホームって彼女の言うようにそんな酷い場所なのだろうか。
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