感謝の気持ちになれない母の日
1日早い母の日。
憂鬱な気分だが義務を果たす為、実家に行く事にした。
今日は久々に夫も一緒に行ってくれると言う為、多少は母の威力も弱まるだろうと期待しつつ。
実家に行く途中、花屋に寄った。
さすが母の日の前日という事もあり、客が溢れ返っている。
最近花屋に行くと言えば、ほとんどが義母に頼まれた仏花を購入する時だけなので、母の日の美しい花々を見ると、少し私の気持ちも上がりつつあった。
「こちら、今年入ったばかりの新品種ですよ」
そう言われて勧められた鉢植えがとても可愛らしく、一目で気に入った。
実家に行くのが憂鬱だと思いながらも、こうして花を選ぶ時にはどこかで、「母が好きそうな色かな?」と気にしている自分がいた。
ラッピングしてもらう時、店員が言った。
「このカードの中から気に入ったものを選んで下さい」
見るとそこには、
「お母さんいつもありがとう」
「おかあさんへ感謝を込めて」
そんなメッセージカードが何種類もあった。しかし私はどれを見てもしっくりこない。自分の中に「ありがとう」という気持ちがないのだろう。
私は無難な、「Mother's Day」と印刷されたカードを選んだ。
そうして鉢植えと手土産の菓子を購入し、実家に到着。
しかし母は体調が悪いのか不機嫌だった。
私の夫も来ているというのに、テンションが低く愛想が無い。
母の機嫌はまるで秋の空のように移り変わりが激しく、最初はそんな風に不機嫌かと思えば、話しているうちに急に元気に饒舌になる。いつものパターンだ。
しかしそんな気分屋の母に慣れていない夫は、その様子を目の当たりにして驚いたらしい。
さらに会話の内容も圧が強く、夫に対してもどこか母なりの自己主張が感じられた。
譲らない母、自分を曲げない母、こちらが何を言っても自分が正しいと信じて疑わない。
何気ない会話でも、私はそんな母の態度一つ一つが引っ掛かり、やはり今日も苦痛の時間でしかなかった。
帰宅途中夫に、「ごめんね、疲れたでしょう?」と言うと、いつもなら私に気を遣い「そんな事ないよ」と答える夫が初めて、
「確かに。どっぷり疲れた」と言うのだから相当だったのだろう。
そして夫が言った。
「改めてころりの気持ちが分かったよ。あのお義母さんを一人で背負うのはキツイだろうね」
普通なら、妻の母の悪口とも受け取れるこの発言に、腹を立てる妻は多いのかもしれない。
自分の親を棚に上げて!という風に。
だけど私は違った。
やっと夫に伝わった。私の苦しみを。私の辛さを共感してくれる人がいた。そんな気分になり少し救われた。
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