クレーマー気質
夫から連絡があった。
ネットで食事の持ち帰りを注文をしたから、夕方取りに行って欲しいと言う。
夫は時々こうしてネットで食事を注文する。その日の夕食は作る必要がないので私も助かるので嬉しい。
わざわざ持ち帰りにしなくても、一緒に外食すれば?と思うかもしれないが、鬱の頃から私は外食が苦手だ。
最近は時々仕方なく外食する事もあるが、家で食事をする方が落ち着く。
この日の注文は回転寿司だった。
私は夫に指示された時間に、その店舗に受取りに行った。
「いらっしゃいませ」
50代ぐらいの男性店員が近寄ってきたので、持ち帰り注文をしてある事を伝えると、「しばらくお待ち下さい」と言い店員は厨房の方に入って行った。
しばらく待つ。
時計を見ると予約していた時間を5分過ぎていた。
他の店では予約時間に行って待たされた事はないけど…。
周囲を見渡してもなんと客は3人だけ。
こんなに空いているのに予約時間までに用意出来ていないなんて、手際が悪いのだろうか…早くも私は厳しい目になっていた。
それから5分程待ち、奥から先程の男性店員が出てきた。
慌てる様子もなくゆっくりと寿司の入ったパックを袋に詰めている。
そして振り返り、「お箸は何本ですか?」「醤油は何個必要ですか?」「ワサビは何個必要ですか?」
いちいち確認。
こんな事も初めて。いつもなら適当に多めに入れてくれているのに。
しかし外面の良い私は笑顔で答えた。
男性店員は相変わらずのんびり。
そして後は会計するだけだろうと思っていたら、その男性店員が固まってなかなか動かない。私の位置からは手元は見えないが、俯いて首をかしげている。
するとその男性店員がウロウロと厨房とカウンターを何度も行き来し、妙な動きをするようになった。何をアタフタしているのだろう。
そしてその男性店員は私の元にやって来て言った。
「あの…ちょっと落としてしまって、中身がグチャグチャになってしまったんですけど」
そう言って、先ほど袋に詰めようとしていたパックの中身を私に見せた。
確かに。寿司がひっくり返り潰れ、トッピングなどもあちこちに散らばり、味もミックスされてしまった感じ。
「あぁ…」
私が絶句していると、その男性店員が言った。
「でもどうせ食べたら一緒なのでこのままでもいいですか?ダメですか?」
マジですか⁉
その言葉にビックリ。その「どうせ」という言い方は無いのでは?
確かにたかが回転寿司。口の中に入れば一緒。それにしても…。
私は低いトーンで言った。「ダメです」
そしてその後、また作り直しとなりかなり待った。待っている間にも、私って面倒な客だろうか、これぐらいなら皆許すのだろうか、と自分に自信がなくなってきて、まるで自分がクレーマーになっているような気分になった。
そしてようやく会計。
男性店員も内心不満に思うところがあったのか、私に「お待たせしました」とも「ご迷惑をおかけしました」とも言わない。
淡々と金額を言った。
「6,480円です」
え⁉高過ぎる。
「そんなにしますか?そんなに注文していないと思うんですけど」
私が言うと、男性店員は黙々とレジを打ち直し、再び言った。
「3,240円です」
どうやら間違って倍の金額になっていたらしい。それにしても…私が指摘しなければそのまま間違った金額で精算されるところだった。
しかもやはり謝る気配がない。
さすがの私もこの時ばかりは眉間に皺が寄っていたのではないだろうか。
昨日の記事のネット情報の件といい、今回の事といい、釈然としない事が続く。
そして自分が意外とクレーマー気質だという事に改めて驚いている。
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