解決しない問い合わせ
――前回の続き。(▶ネット上に残っている私の情報)
私は焦った。
とっくに消えていると思っていた私の名前やメルアドがまだデータとして残っている。という事は住所や引き落としの銀行口座の情報も?気になる……。
そこで私はその会員サイトに電話で問い合わせる事にした。
電話口に出たのは明らかにバイトっぽい若い女性。最初の対応からたどたどしい。
しかし感じが悪いという事はなく、一生懸命私の説明を聞こうとしてくれているのは伝わったので、とりあえず私は一番気になっていた事を質問した。
「クレジットカードは解約したのに、どうして会員サイトから情報が消えていないのですか?解約と同時に消去されると聞いていたのですが…」
すると電話の向こうで「そ、そうですね…」と焦った様子の女性。
別に責めているつもりは無かった。
ただ状況を把握したかっただけ。
しばらく女性は「うーん…」「えぇっと…」と何やらモゴモゴ言っていたが、次に
「すみません!しばらくお待ち下さい!」と叫んだかと思えば電話が保留になった。
それから待った。かなり待った。
どうなっているのだろう?私は忘れられてしまったのか…と不安を感じ始めた時、保留音が切れ先の女性が戻ってきた。
「あの…すみません、担当者が今日は休みでして…また後日ご連絡させて頂いて宜しいですか?」
それならそうと早く言って欲しい。
今まで待っていたのは何だったのか。
しかし電話の向こうの女性はあくまでも低姿勢。
さらに困っている様子も何となく感じ取れる。
私は今こうして客としてなら気楽に話せているが、電話の向こうで困っているその女性が、まるで職場での自分を見ているようで痛々しくも感じた。
「分かりました」
私がそう答えると、女性はホッとしたように、「それでは後日必ずご連絡させて頂きます」とハッキリした口調で言った。
それから数日経った。
もしかしたらこの連休中はずっと担当者が休んでいるのかもしれない。
そう思い気長に待っていたが、連休明けの今日、やはり連絡はない。
まさか忘れられた?
このまま待っていればいつか電話がかかってくるのだろうか。
あのたどたどしかった彼女の声を思い出し、また私は不安を感じ始めている。
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