家族の受動喫煙
義父は煙草を吸う。
ヘビースモーカーという程ではないが、会うと必ず一度は吸っている姿を見る。
以前からそれは気になっていたが、最近は一緒に過ごす時間が長くなった為、以前にも増して気になるようになってきた。
義父の体が心配だ――と言えば綺麗だと思うが、正直なところ受動喫煙が気になる。
義父本人は納得した上での喫煙だろうが、周囲にいる義母や私は喫煙者ではない。
それとなく義母に言った。
「お義父さん、煙草をやめた方が良いのでは?」
「そんな事、今更無理よ」
そうかもしれない。それならばせめて…
「喫煙する時には外に出るとか、換気扇の下で吸ってもらうとか。お義母さんも煙たくて嫌でしょう?」
そう言ってみたが、本当に嫌なのは私。
だが正直に、「私が嫌なのでやめて下さい」とも言えない。
何度かそういう話をしてみたが、義母は全く気にしていない様子。
「昔は他の男の人もみんな吸っていたわよ」
そう言うだけで、私の話を聞き流される。
それでも先日、義父母の家の中に入ると思わず口を覆いたくなる程、煙が立ち込めていた。
私は、「すごい煙、窓を開けて換気しましょう」と言いながら窓を開けた。
すると私の行動が癇に障ったのか、義父が急に怒り出し、
「寒い!開けなくていい!」と言い、不機嫌な表情になった。
余計な事を言ってしまったかと、そっと義母の顔を見ると、義母は無言のまま目で合図していた。
「黙っておきなさい」
義母の表情はそう言っていた。
これ以上余計な事を言っては義父がキレてしまいそう。
私は小さく溜息をついた。
次の瞬間、まだ煙っている空気が肺に入った気がした。
よく読まれている記事