ペットロスの乗り越え方
今日は散歩中に、久々にある女性と会った。
家はどこか知らないが、同じ地域に住む近所の主婦らしい。
年齢は70代ぐらい。
私と同じようにいつも犬連れだったので時々会えば話をしていた。
しかし最近は見かけなくなり、どうしたのかと気になっていたのだ。
「お久しぶりですね」
私がそう声をかけると、その女性は
「うちの犬が亡くなってしまったの。だから散歩もしなくなって…」と言った。
今日は運動の為に久々に一人で歩いてみたと言う。
「寂しくなりましたね」
私がそう言うと、
「思ってた以上に辛かったわ」と今にも泣きそうな顔になった。
かなり愛犬を可愛がっている様子だったのでその悲しみは想像出来る。
私は何と慰めてよいか分からず、ただ頷いた。
するとその女性が言った。
「犬がいなくなってから家にいるのが辛くてね。今働きに行っているの」
「え?そうですか、凄いですね」
70代でも働く事は珍しくない時代だと思うが、ずっと専業主婦らしいその女性が70代で何十年ぶり?かで外に出る事が凄いと思った。
だが話を聞いているとその仕事も今辞めたくて仕方がないと言う。
「馴染めないっていうか、役に立てないっていうか…」
詳しくは語らなかったが、何となく想像出来た。
ただでさえブランクのある女性が働くのは難しいのに、70代で新たな事を始めるというのは仕事も人間関係も大変だろう。
「無理されず家でゆっくりしても」
思わず私はそう言ってしまった。
70代にもなって悩みながら働くなんて痛々しく思えた。
するとその女性は、
「家にいても辛くてね、困ったわ」
と言いながら苦笑していた。
分かる。そうだ。年代は違うが私もきっと同じ。
愛犬がいなくなれば家にいるのが辛くなるだろうし、かと言って外のどこにも馴染めず居場所がない。
痛いほどその気持ちが分かり、私はそれ以上その女性に何も言えなかった。
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