人の悩みを聞くのが得意だと言う人
以前心療内科で出会った女性。(▶名前も知らない人とのライン)
あれきり連絡が無かったので、相手も一線を引いてくれたのかと思っていた。
だがそんな忘れかけていたある日、その人からラインがきた。
「お元気ですか?」
咄嗟に私は、また「会いましょう」と誘われたらどうしようと構えた。
しかし挨拶を交わした後、体調や薬の話をするだけでそんな様子はなくホッとした。
彼女の名前は美智子というらしい。この日初めて知った。
ラインの名前表示は私も彼女もニックネームであり、互いに自己紹介もまだだったのだ。
実際に会うとなると気が重いが、こうしてラインのやり取りをする範囲内ならそれ程でもない。
こう言っては失礼だが、気晴らしに丁度いい。
彼女は口調も穏やかだったが、送られてくる文章も柔らかく丁寧。
だが少しその丁寧さが気になった。
あまり今まで周囲にいないタイプ。
きっと繊細な人なのだろうと想像し、何か間違って傷つけないように言葉を慎重に選んだ。
彼女は体調に悩んでいるらしく、
「私は最近体調が悪くて…寝てばかりです」ときたので、
「私も不眠や眩暈だったり…お互い年齢的に更年期もあるかもしれませんね」
というような内容の文章を返した。
その日はそれで終わったのだが、またしばらくして3回目のラインがきた。
「お元気ですか?」
内心、まだ前回から一週間も経っていないけど…と少し私は引き気味だった。
すると美智子さんが、
「先日のラインでころりさんの体調が悪そうだったので心配です」と送ってきた。
え?そうだった?
記憶を辿るが、むしろ私より美智子さんの方が不調だったような…。
そんな事をぼんやり思い出しつつ、何と返信すれば良いか悩んでいると、さらに相手から送られてきた。
「私でよければいつでも相談に乗りますよ」
う、うーん。
「ありがとうございます」
そう返したものの、何だかしっくりこない。私から彼女に救いを求める素振りを見せた覚えは無いのだか。
さらに美智子さんから送られてきた。
「私、人の悩みは聞くのが得意な方なんです。だから気兼ねなく」
うーん…。
この言葉で私の心はさらに引いてしまった。
人の悩みを聞くのが得意だと言う人に、悩みを言う気がしないのはなぜだろう。
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