バブル世代、スマホ世代
先日、以前の職場に行った時の事。(▶グダグダな一日)
本当に私が行く意味があったのか――疑問は残ったものの、一通りレクチャーを終え、ようやく帰る事が出来ると思ったその時、奥さんから言われた。
「ころりさん、この後食事を用意しているから、もう少し時間いいかしら?」
「そんな…お気遣いなく、私はもう失礼しますので…」
慌てて断ろうとしたが、奥さんは
「店も予約しているし、社長も楽しみにしているの。お願い」と言い、私の肩に手を置いた。
そう言われて断れるはずもなく、夫に遅くなると連絡を入れ愛犬の世話を頼んだ。
その後会食の為の店に移動した。
私は最初、社長と奥さん、今回の新人スタッフのごく少人数の食事会だと思っていたが、いざ行ってみると他にも多くのスタッフが来ていて驚いた。
この様子を見ると私の為というより、ただ職場の飲み会に私がお邪魔しただけ――という感じ。それはそれで気楽でいいのだけれど。
それにしても…。
この飲み会、つくづく今の若者との違いを感じた。
私が仕事の説明をした20代の若い女性。
とても上品で大切に育てられた雰囲気の娘さんだ。
その冷静さと頭の回転の速さから、十分な教育も受けてきたのだろうと推測出来た。しかし…。
この飲み会で彼女は私の隣に座り、向かいには奥さんが座っていたのだが、一切顔を上げなかった。
最初から最後までずっとスマホを見つめたまま。
時々食事をしていたが、それでもすぐにスマホに目を移す。
彼女だけでは無い。
彼女の向こう側には同じような若者が数人いたが、彼らもお互い会話するよりも、皆スマホを見つめていた。
これが今風の飲み会?
物凄い違和感。
私はその様子に気付かぬふりをしながら、ただ向かいに座っている社長と奥さんの話に相槌を打った。内容なんてほとんど頭に入ってこない。ただ適当に笑い、時間が過ぎるのを待っていただけ。
昔から職場の飲み会と言えばこんなものだった。
苦手な上司にも笑顔を向け、内心は「早く終わらないかな」と思いつつも注がれる酒を飲む。こうして書くといかにもバブル時代。
社長が私の隣の20代女性に酒を勧めた。
「君も一口ぐらいどうですか」
すると彼女は淡々と答えた。
「私は一切飲みませんので」
悪びれるでもなく、申し訳ありませんという表情も無し。ある意味気持ちがいい。
私も若い頃からこんな風に割り切れたら、もっと楽になれただろうか。
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