宝くじに当選
宝くじに当選した。
嘘でしょ?まさかそんなはずはない。
パソコンの画面を見つめ、何度もその手に持った宝くじの番号を確認した。
何度確認しても合っている。
信じられないが突然大金を手にしてしまった。
当選金額はなんと1億円。
胸がドキドキし、手が震えていた。
夫に報告するべきか?本来はするべきだろう。
だが夫がこの事実を知ってしまえば、すぐに仕事を辞め、今後働く事はないように思う。
私はたとえ大金を手に入れても夫には何かしていて欲しかった。
引きこもっている自分の事を棚に上げて言えた立場ではないが、夫婦二人で家でダラダラ過ごすなんて憂鬱。
だが夫は以前から、「もし宝くじが当選したら、一生遊び毎日寝て過ごす」と言っていた。
それを思い出し、私は夫には秘密にしたくなった。
次に思ったのは義父母の事。
大金を手に入れた事を知ってしまえば、すぐにでも「同居する為の家を建てましょう」と言い出しそう。
さらに実家の母の事も考えた。
以前から、「宝くじが当たったら、みんなで分け合うわよ」と言っている。冗談なのか本気なのか分からないが、実家の母に言うと吹聴して回りそうな気がする。
いけない。私一人の秘密にしたい。
だけど一人で換金に行くのも不安だ…。
と、ここまできて目が覚めた。
何だ、夢か。
あまりにもリアル過ぎて、しばらく本当に夢だったのか、現実なのか分からず茫然とした。
手をグッと握りしめていたのか、手のひらに爪の痕が残っていた。
夢でがっかりした。
これで老後は安泰だと思ったのに。
だが心のどこかでホッとしている自分もいた。
夢の中でさえも、夫や義父母の事、実家の母の事などで悩んでいた自分に呆れる。
金を手にしても手放しに喜べず、それをどう扱えば良いのか誰に相談すれば良いのかも分からない。
そんな私には今の質素な暮らしが合っているのかもしれない。
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