荒らされた花壇
小さな花壇に花が咲き始めている。
少し前までは沢山の蕾だったが、ここ最近になり次々と花が開き始めた。
しかしある日その花壇を見ると、まるで小動物に荒らされたかのような掘った跡があり、折角咲いたばかりの花が全て引き抜かれていた。
荒らされているだけなら猫などの仕業だと思えたかもしれない。
しかしその花壇の前に散らばっている引き抜かれた花を見ると、どう考えても人間の手によるものだと思った。
私の家は花壇のある場所まで、誰でも簡単に入ってくる事が出来る。
怖い。
その行為そのものが怖いというより、こんな事をされる程誰かに嫌われているのかと思うと、その事の方が怖かった。
なぜだろう。
誰だろう。
考えてみたが思い当たらない。
しかし先日も書いたように、自覚がなくても嫌われている場合がある。(▶原因不明の無視)
私が鈍感なだけで、何か相手に嫌な思いをさせてしまったのか。
しかし近所の人達とはそこまで関わっていないのに。
不安と気持ちの悪さで頭の中がグルグル回る。
そのまま放置していても気が滅入るので、私はすぐに新しい苗を購入してきた。その苗は既に花が咲いていた。
それを早速花壇に植えた。
この花が元気に咲き広がる事で、今回の事を忘れてしまいたかった。しかし心のどこかで不安はあった。
そしてその不安は的中し、植えたすぐ翌日、また苗が引き抜かれ、花壇の前に散らばっていた。
明らかに人の手だ。それも翌日になんて……。
まるで私が新しく植え替えるのを待っていたかのようではないか。
――続きます。(▶小さな犯人)
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