義母に見つめられ
朝から義母がタクシーでやって来た。
先日、私は義父母の家で体調を崩し、あの日は義母との外出も中止し、夕方になってから帰宅した。(→お岩さんの日)
その後連絡もなかったので、義父母がどう思っているのか気になっていた。
こちらから連絡しなければまた義母がうちに来るのではないか…そんな予感がしていたが、朝インターホンが鳴った瞬間、「やっぱり…」と肩を落とした。
「どう?ころりさん、お父さんも心配していたのよ」
そう言いながら義母はスーパーの袋を抱えてリビングに入って来た。
「はい、これ好きでしょ?」
そう言いながら渡されたのは、イチゴ。
一応私の好物を分かってくれているのだ。
そう思うとほんの少し気持ちが和んだ。
「美味しそう。ありがとうございます」
と私が言うと、「ほら、そこに座って食べなさいよ」と義母が言った。
折角なので食べている姿を見せた方がいいかと思い、「じゃあ、ちょっと洗って…」と、私はキッチンでイチゴを洗おうとした。
すると義母が、
「洗っちゃダメよ!味が落ちるから!」と言う。
え?そうなの?でも……農薬や汚れが気になるが…。
そう私が言っても義母は、「最近の若い子は知らない事が多いわね」と言い、イチゴは洗ってはいけません!と言い切った。
ど、どうすれば…。
戸惑ったものの、仕方がない。義母の目がこちらを見つめている。
私はパックを開け、洗わず、ヘタも取らず、そのままかぶりついた。
義母は満足そうに笑っていた。
大好きなイチゴなのにそんな事に気を取られ、美味しかったのかどうか…覚えていない。
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