防災訓練の必要性
朝、ゴミ捨てに行くと、主婦が集まっていた。
いつものようにその輪に私が入る事は無かったが聞こえてくるその声で、話題は北海道の地震の事だと分かった。
「会長が近いうちに防災訓練をしようって言っていたわ」
そんな声も聞こえた。
またか……。
確かに地震や水害、これだけ災害が多いと防災訓練は大切な事だろう。
しかしその為にまた近所の主婦達と交流せねばならない事を想像すると気が滅入る。
こんな社交性のない私は本当に災害に遭った時にはどうなるのだろう。
災害そのものの心配よりも、その時に地域の人達と上手く関われるのか……そちらの方を心配してしまう自分が情けない。
家に戻ると早速義母から電話があった。
「ころりさん、地震が怖いわねぇ」
義母はどこかの地域で災害がある度に、「怖い怖い」と不安が募るようだ。
「老人二人暮らしだから不安で仕方がないわ」
またか……。
こちらも毎度同じセリフで、その言葉をどう聞き流そうかと私は必死になる。
「大丈夫ですよ、いざとなればご近所の方々もいますし」
義母の同居熱を下げる為に思わずそう言ってから、自分自身の矛盾した言葉に苦笑した。
自分では「近所なんてアテにならない」「近所の人と関わりたくない」と言いながらも、義母には「近所と助け合って下さい」と言う私。
「それはそうだけど、近所の人に世話をかけるのは気を遣うでしょ」
そう言う義母の言葉を聞き、本音では納得している自分がいた。
私も同じだ。
義母を批難する資格はない。
誰もが近所の人がいるから安心なんて思えない。
だからこその防災訓練なのだろうか。
互いに頼っても大丈夫、互いに助け合える存在がいる、そう信じ合う為の防災訓練なのかもしれない。
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