孤独老人の預貯金管理
親の通帳を管理しているという話を聞いてから、私は自分の老後はどうなるのだろう……と不安になった。(→嫁に財布を預けられる?)
今まで老後の心配と言えば、身体介護の事ばかり考えていたが、家計の管理はいつまで自分で出来るのだろうか。
今はそんな管理まで出来なくなる事が想像出来ず実感がないが、他人の話を聞いてみて初めて、なるほどそういう事も考えねばならないのか……と新たな心配が増えた。
実際子に任せるかどうかは別として、子がいる人は子に任せるという選択肢がある。
だが子なしの人はどうすれば?
子がいない場合、身体や家事介護はヘルパーや介護施設を利用するしかない。イメージも出来る。
一方、他人に預貯金を管理してもらうなんて全くイメージが出来ない。
誰に頼めばいいのか分からない。
私の実家の母は、保険や預金の契約をする時、必ず私を呼ぶ。
「あなたに説明を聞いてもらわないと、私一人ではもし騙されていたら怖いから」と言う。
そんな事を言われたら、私の老後など一人きりで騙され放題ではないか。
気にし始めたらキリがない。
以前、子なし夫婦の知人は、「老後は全て甥に看てもらう事になっている」と言っていた。
その為にその親にも承諾を得て、甥に全ての財産を渡す書類も作成したと言う。
私は甥や姪と付き合いも全く無いし、頼れるなんて思ってもいない。
こうなったら成年後見制度を利用するしかないのか。
だが私のような大した預貯金の無い者が利用するのは後見人に申し訳ないような気がしてしまう。
後見人の報酬は被後見人の預貯金に比例するらしいから。
以前、知人で後見人をやっている人がいた。
もちろんその人は悪質な事をするような人ではなく信頼出来る人間だが、その後見人の仕事の事を「おいしい」と言っていた。
それが私の心の奥に引っかかっている。
知人は見ず知らずの他人の後見人になっていた為、その老人に情が無いのは当然だ。
だがそれにしても、「おいしい」という表現はあまりにも悲しく感じた。
多分私はどこかで、自分をその老人に置き換えていたのだろう。
子がおらず、任せられる人がいないのだから仕方がない。
金を払って管理してもらう。そういうサービスだと割り切るだけ。
そう理解しなくてはならないと分かってはいるが、他人に任せる不安と寂しさは拭えない。
先日パート先で、親の通帳を管理している話をしていた時、聞いていた主婦達が、
「私は生きているうちに子供に貯金を管理してもらうのは嫌だわ。嫁に使われるじゃない」と言っていた。
私は心の中で、それでも他人に渡すよりマシでしょ、と毒づいた。
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