「逃げない象」を読んで涙が出た
今日は心療内科に行ってきた。
最近、病院の待合で待っているだけで心臓がドキドキし吐き気がしてくる。
どこをどう話せばいいのか、うまく説明出来ずに感情だけが高ぶり、今日こそ泣いてしまうのではないか?という不安感に包まれる。
今日は特に酷く、ジッと座っているのも辛くて、ウロウロと立ったり座ったりしてみたが症状が治まらず、困ったなと思っていた時、ふと壁に貼ってある1枚の紙に気付いた。
それはA4ぐらいの用紙で、ここの医師の手書きで心についての文章が書かれていた。
まず医師の優しい字に好感を持った。
「字が優しい」なんて変だと思うが、でも本当にそんな表現がピッタリな、優しく読みやすい字だった。
ボールペンで書かれたその文章は、所々色鉛筆で塗られたりイラストが書かれていて、全体が温かい雰囲気。
あの医師がこのイラストまで書いたの?まさかね……そんな事を思いながら、私はその用紙が貼られている壁の前で、吸い込まれるようにその文章を読んだ。
その内容は、「逃げない象」の話から始まっていた。
乗り物にしたり、サーカスで調教されている象。
これらは普段、とても細いロープでつながれてる。あれだけ大きな象なのだから、細い杭やロープなんて簡単に引き抜いて逃げる事も出来るのにどうして逃げないのか?それは、小象の頃、太い杭に強い鎖で繋がれて、逃げようとしても逃げられない経験をさせられたから。何度も逃げようと試みるが、出来ないという失敗を繰り返す事で、逃げられないと思い込んでしまう。それで、大人になった象は細いロープひとつ足にかかっているだけで、逃げ出せなくなる。
そんな話。
私は読んでいて、まるで自分が象の気分になり涙が浮かんだ。
その話の後には、それに対するアドバイスや考え方が色々と書かれていたが、どの言葉もここの医師らしく、優しく寄り添うような文章だった。
「今出来なくても、1年後はまた分からない。今の自分とは環境も心境も変わってるのだから」
「焦らず慌てず諦めず」
そんな言葉が並んでいた。
特別な事を言っている訳ではなかったが、話の流れや言葉の選び方、そして温かみのある文字と色が、優しく慰められているような気がして、危うく涙が落ちかけた。
医師とはいえ相性もあるし、私は今まで他の心療内科でも、医師に対して人としての期待をした事はなかった。
今でもそれは変わっていないが、今日は「この医師で良かったのかも」と思えた日であった。
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