義母の独演会
予定通り義父を眼科に連れて行く為、朝から義父母の家に行った。(→私だけが冷めている)
家の中に入ると、義父母がこちらを見た。
「ころりさん、ごめんなさいね」と言いながら立ち上がる義母の姿を見ると、なぜかお出かけ服。
まさか?
「え?お義母さんも行かれるんですか?」
私は義父だけを病院に連れて行くものだと思い込んでいた。しかし義母は
「当たり前でしょ。私が家にいてどうするの」と言い、「ほら、お父さん、行きますよ」と義父の背中を押した。
足が悪い義母がわざわざ付き添いに行く必要はないと思うけど。
義母が付き添うなら、逆に私は必要ないのでは?二人でタクシーを使って行けばいいのに。
私の中の鬼嫁が顔を出した。
しかし義母が一緒に来て悪い事ばかりでもない。
私は義父と二人きりにされると何を話して良いか分からない。話がかみ合わず、寡黙な父と気まずい時間になる。
だが義母がいれば、ほぼ義母の独演状態。適当に相槌を打てば一人で話してくれるから助かる。そんな義母の話を適当に聞き流しながら、病院に着いた。
義父の目の調子だが、2日前にはあれ程辛いと言っていたのに、今はそれ程でもないと言う。受付で症状を説明すると、まずは先に基本的な検査をしましょうと言われた。
義父が検査をしている間、待合室で義母と二人待っていたが、ずっと話し続ける義母。よくこれだけ話せるものだと感心する。
とにかく義父の事が心配で倒れそうだと言う。
やめて欲しい。倒れそうなのは病院が苦手な私の方なのに。
義父の検査はすぐに終わり、その後名前を呼ばれ、診察室に入るように言われた。
すると義母が立ち上がり、診察室に向かおうとしている。
「え?お義母さん?ここで待っていて下さい。私が行ってきますから」
慌てて義母を引き留めようとしたが、義母は「私が行かなくてどうするの?家族なんだから説明を聞くのは当たり前でしょ」と言い、足を引きずりながら診察室に入った。
振り返り、義父の顔を見ても、「当然だ」という顔をしている。
結局私も含めた3人が狭い診察室に入る事になり、正直、本当に私はこの場に必要ないのではないか……と思った。
義父に明らかな病状は無く、詳しい検査をしないと正確には分からないらしい。
だがしばらく様子をみていいでしょう、という事になり、今すぐ詳しい検査をする事は無かった。
しかしここでも心配性の義母。
「先生、本当に大丈夫ですか?何か大きな病気の可能性はないのですか?」
何度もしつこく質問し、医師が呆れる程困らせてしまった。
この様子を見ていても義父は黙っている。
義父は典型的な内弁慶で、外ではあまり声を出さないのだ。
何とか義母を宥め、目薬を貰って帰宅した。
ドッと疲れた。
「ころりさんがいてくれて助かったわねぇ、お義父さん」
何度も義母がそう言ってくれたが、やはり次は義父と二人で行く方がマシ……そう思う私だった。
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