老人がスマホを持つという事
先日の言い訳。(→嘘と罪悪感)
「最近スマホの充電がすぐ切れてしまって……」
次々と嘘に嘘を重ねる。
わざわざ言わなくてもいい事まで、義母を目の前にするとなぜか必死に自己弁護している自分がいた。
義母はそんな事はどうでもいいのか、興味なさげに聞いていたが、ふと思いついたように言い始めた。
「私もスマホを買おうかしら」
えぇ⁉
思わぬ方向に話が飛んでしまい、また嫌な予感がした。咄嗟に、「面倒な事になりそう」と思った。
義母はガラケーを使用している。
それ程多く利用する事はなく、家族や知人とメールや電話をする程度。もしスマホを所有してもネットなどを利用するとは思えない。
私は言った。
「ガラケーの方が使い方が簡単でいいですよ」
だが義母は
「ラインって言うの?あれは便利だって皆から聞いた事あるわ」
どうやら義母と同年代の知人達の中には、スマホを使いこなしている人がいるらしい。
さらに義母は、「それに通話料が無料だって言うじゃない?ころりさんとどれだけ長話しても気が楽だしね」と言いフフフッと笑った。
……あぁ、面倒臭い。
どうせスマホなど持ってしまえば、使い方が分からないと言い四六時中、私に連絡があるに違いない。
娘がいるのに。
どうして実の娘にもっと頼らないのだろう?
こういう細かい事は、実娘と相談したり頼ったりする人の方が多いのではないか。
ついそんな風に考えてしまったが、自分も実母を遠ざけようとしている事を思い出した。
人の事は言えない。実の親子だからと言って誰もが仲良しとは限らない。
「スマホは月額料が高くなりますし、勿体ないですよ」
私はそう言い、逃げるように義父母の家を出た。
老人が新しい事に興味を持ち、若々しくいるのは良い事だろう。
だがそれは精神的に自立出来ている老人に限る。
結局子を巻き込んでしまうのなら、いっそ何もかも興味を無くした大人しい老人の方がずっといい。
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