優しい心に包まれたい
今日も落ち込みが酷い。
切り替えが出来ない。
昨夜も眠れず食欲もない。ただ喉が渇き水を飲んでばかり。
母に言われた事が頭の中でグルグル回り、その記憶を取り出して捨ててしまおうと思うがなかなか消えない。
毎日親以外の人とほとんど会話せず、愚痴る相手もいないからこうなるのか。
朝から悶々とした気分でいると、電話がかかってきた。
今後は義母からだった。
まるで実母と義母の二人が、私の両腕を引っ張り合い取り合いをされているような気分になる。振りほどき逃げ出したい。
「ころりさん、今日は来られる?」
電話に出ると陽気な義母の声が聞こえた。
「……すみません、今日はちょっと用があって」
咄嗟に嘘が出た。
今日は自分の事で精一杯で、義母の前で普通の顔をして接する自信がなかった。
「用って何?どこに行くの?何時に終わるの?」
義母はすぐに引いてくれない。私の行動を把握しようとする。
「今日は少し遅くなると思いますので……すみません無理です!」
自分の心が悲鳴を上げ、いつもより強い口調になった。
義母の機嫌を損ねただろうか?悲鳴を上げた心がまだそんな事を気にしてしまう。
だが義母は負けていない。
「遅くなっても大丈夫よ。今日は来て欲しいの。何時でもいいわ。待ってるから」
「明日行きますから。本当に今日は無理です。すみません」
「来て欲しいって言ってるのよ?ちょっと顔を見せるぐらい出来ないの?」
――なんだか何もかもが嫌になる。
どうして皆自分の主張を押し付けるのだろう。
私は何の為に生きているのだろう。
これから先の人生は親の為に過ごすだけなのか。
どこまで親の希望通りにすれば許してもらえるのか。
優しい心に包まれたい。
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