在宅ワークへのお誘い
散歩中に出会ったオバサンの中で、親しくなった人がいる。
犬同士も仲が良いので、1年程前から会えば5分程度だがいつも会話をするようになっていた。
そんな会話の中、私と同年代の娘がいるらしい事も知っていた。
この日、オバサンは詳しく娘の話をし始めた。
以前は勤めていたが人間関係などで体を壊し、今では外で働くのは無理だという事。
今は自宅で在宅ワークをしているという事。
「家で仕事が出来るなんて羨ましいです」
私は言った。本心だった。
人間関係が無いなんて気楽そうだ。
だが様子を聞くと、それ程の収入にはならず、もっと仕事が欲しいと悩んでいるようだった。
私は「今はインターネットでも在宅ワークの仕事が探せるようですね」と言った。
自分は利用した事がないが、他の方のブログを読んでいると、ネットを利用した在宅ワークをしている方が多い。私も興味があった。
しかしそのオバサンが言った。
「うちの娘はパソコンが苦手らしくて……」
すっかりパソコンを使った在宅ワークだと思い込んでいた私は、それならば家でどんな仕事をしているのだろうと気になったがそれ以上追及しなかった。
そして次にそのオバサンと会った時、
「よかったらうちの娘の仕事を一緒に手伝ってくれない?」と言われた。
そこで初めて仕事の内容を聞くと、どうやらタオルの袋詰めのような内職らしい。
一人で作業するとどうしても請け負える量に限りがあり、単価も低いと言う。
まとめて多くの仕事を受けられる方が、単価を上げてもらえるらしい。
その為、そのオバサンの家で一緒に作業して欲しいと言われたのだが……
確かに私も仕事をしたいと思っているが、その話に乗り気になれなかった。
仕事内容が嫌だという訳ではなく、その方の家に毎日通い、密室で一緒に作業するという事に抵抗があった。
日が経てばストレスになってくるのではないか。
それは在宅ワークであるが、私にとっては「在宅」ではない。
「有難いですが、最近体調が悪い日が多くて……」
何とかやんわりとお断りした。
その後、そのオバサンとの会話が気まずくて仕方がない。
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