とっくに孤独
久々にはらわたが煮えたぎるような苛立ちを覚えた。
どうしてこうも母はお節介なのだろう。
頼まれてもいない事になぜ首を突っ込もうとするのか。
理解出来ないし我慢も出来ない。
このところ、実兄が帰省する時に妻や子供は一緒ではなく、兄が一人の事が多いとは聞いていた。
「それはそうでしょう。子供達も自分の事で忙しいだろうし、お義姉さんも毎回一緒に来るのは疲れるんじゃない?」
私がそうフォローする度、母は「それにしても、どうしたのかしらね」と納得いかない様子だった。
そんな実母からの電話。
内容は兄の妻の事だった。
気になる気持ちを隠せない母は、兄を直接電話で問い詰めたらしい。妻はどうしているのかと。
すると兄は妻の体調不良を母に説明したらしいのだが、それを聞いた母は驚き、私に電話してきたのだ。
「どうやら鬱病らしいわよ」
「ふーん」
私は気の無い返事をした。
そう言えば秋頃に兄から電話があり、そんな事を言っていたな……とボンヤリ思い出した。(→鬱ってどんな感じ?)
母から聞くには、義姉は未だに心療内科にも行っておらず、毎日怒りっぽく、時には急に泣き出したりと感情の起伏が激しいと言う。
しかしそれだけでどうして鬱と決め付けるのだろう。
病院にも行っていないのに。
だがそんな事よりも、母が言い始めた事に私はイライラした。
「ころりから義姉に電話してあげなさいよ」
「経験者として色々アドバイスしてあげれば助かると思うわ」
「あなたが通っている病院に連れていってあげれば?」
次から次へと母のお節介は止まらない。
私は言った。
「私が相談された訳でも頼まれた訳でもないのに、それはお節介よ」
そもそも母も兄から何も頼まれてなどいない。
いい歳をした息子夫婦をそっと見守るという事がどうして出来ないのだろう。
私は久々に母に対して感情的になった。
「とにかく静かな親でいてよ!」
母の早口で急き立てるような口調で、私はさらにイライラしていた。
だが母は常に自分が正論。
「どうして人と関わろうとしないの!助け合わないといつか孤独になるわよ!」
そう怒鳴られた。
もうとっくに私は孤独なのに。
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