癒された時間
美容院の予約日。
緊張した面持ちの私を店のスタッフ達はとても感じ良く迎えてくれた。
さらに気にしていたハゲの事も「どの辺りですか?」と、あちらから何気なく聞いてくれたので、こちらも構える事なく自然と説明が出来た。
自分が思っている程、美容師達は何も思わないのかもしれない。多くの客を相手にしているのだから当然だろう。
元々美容院が苦手な私。
何より嫌なのが、美容師達が必要以上に会話しようとするからだ。
お客様にこの時間を少しでも楽しく過ごして頂こう――そう教育されているのが伝わってくる。
だがこちらはそれを求めていない。
必要最低限の会話だけで、後は放っておいてくれた方がずっといい。
しかしそんな美容院は少なく、会話に疲れる美容院が大半だった。
そんな私は長い間、美容院ジプシーであったが、最近今の美容院に落ち着きつつある。
会話が少ないから。
全く会話が無い訳ではない。ただその会話が自然なのだ。
無理に質問攻めにする事もなく、話題がない時には無言の時もある。
気が向いたら話す。
そしてその話すトーンも低く、ゆっくり。
美容師の数は少ないが、皆そんなタイプが集まっているらしく、店全体が静かだ。
思えば初めてこの美容院に来た時には、あまりの静けさに少し戸惑った。会話の無さが逆に苦痛にも感じた。(→髪年齢 →沈黙)
だが今ではそれに慣れ、今更また派手な美容院には戻れないように思う。
そんないつも会話の少ない美容院だが、今回は
「円形脱毛症は若い人でもよくありますよ。血流が悪かったり、ストレスが関係していたりしますから」と、私に気を遣い会話してくれているのが分かり、温かい気持ちになった。
カットが終わり首や肩をマッサージしてくれたが、その気持ちの良い事。
久々に癒されたように思う。
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