上司からの呼び出し
相変わらず、義母は私に仕事を辞めろと言う。
「お金がないので……少しは働かないと……」
その都度そんな風に言い訳をしているが、この言い方が難しい。
言い方を間違えると、「あなたの息子の稼ぎが悪いので、私が働かなきゃいけないのよ!」と嫌味に受け取られかねない。
事実なんだけど。
「週に2日なんて、中途半端に行っても職場にご迷惑なだけよ」
義母はそう言い、先日も私が出勤日なので無理だと言うのに納得せず、病院に連れて行って欲しいと言われた。
「親の体と仕事、どっちが大切なの⁉」
そんな風に興奮気味に言われると、心が折れてしまい、黙って従う方が楽だと流されてしまう。
このままでは今の職場にいられない。
いくら何でも身勝手過ぎるだろう。居心地の悪さが増すばかりだ。
今週辞めると伝えようか、来月こそ……と、迷いつつ何とか切れかかった糸に縋っていたが、ある日上司に呼び出された。
ついに来たか。
欠勤を注意されるか、又は退職を促されるか。覚悟した。
迷いがありいつまで経っても自分から退職を言い出せなかった。いっそあちらから言ってもらった方が諦めがつく。
「毎日忙しいみたいですね」
上司は温厚な口調で話し始めた。
すかさず私は謝罪した。
「いつも勝手ばかりで申し訳ありません」
「いやいや」
私は胸の鼓動が早くなるのを抑えられなかったが、上司はそのまま笑みを絶やさず、穏やかに言った。
「ころりさん、在宅で仕事をやってみる気はありませんか?」
予想外の言葉に一瞬固まった。
――続きます。
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