タイムスリップした家族
何年かぶりに父と母、そして私の3人で会った。
「一緒に食事でもしようよ」
入院していた父が少し前に退院し、その祝いに――と母から連絡があった。
しかし理解しがたい。
仮にも離婚した親同士がなぜそこまで関わろうとするのか?
母が誰にでも過干渉なのは分かっている。
父も兄も、母のそれが嫌で離れていった。
なのにまたそれを繰り返そうというのか?
気弱な父の事だ。
強く断れず母の押しに負けてしまったのだろう。
今の母はとにかく父の世話をしたいらしい。
私と話す時には「体調が悪い」だの、「早く死にたい」だのと愚痴ばかりで、全身で「助けて」とアピールするくせに、いそいそと父の世話をしている母を見ると、どれが本当の母なのかと思う。
約束の日、実家に帰るとそこに父が座っていて不思議な感じがした。
まるでタイムスリップしたようだ。
食事の間中、ずっと母が一人喋っていた。
「健康が第一よ。皆で助け合わなきゃね」
そう言って嬉しそうなのは母だけで、私も父も黙々と食事した。
口数の少ない父が私に聞いたのは一つだけ。
「あちらのご両親はお元気か?」
私が「元気だけど、色々と大変よ」と答えると、父は「無理するなよ」と言った。
それを聞いた母がここぞとばかり、
「あちらのお義母さんはころりに頼り過ぎよ!もっと自立すべきだわ」と興奮した口調で言った。
自立……この中で一体誰が本当に自立出来ているのだろう。
誰もいない。そんな気がした。
まるでタイムスリップしたようだ。
食事の間中、ずっと母が一人喋っていた。
「健康が第一よ。皆で助け合わなきゃね」
そう言って嬉しそうなのは母だけで、私も父も黙々と食事した。
口数の少ない父が私に聞いたのは一つだけ。
「あちらのご両親はお元気か?」
私が「元気だけど、色々と大変よ」と答えると、父は「無理するなよ」と言った。
それを聞いた母がここぞとばかり、
「あちらのお義母さんはころりに頼り過ぎよ!もっと自立すべきだわ」と興奮した口調で言った。
自立……この中で一体誰が本当に自立出来ているのだろう。
誰もいない。そんな気がした。
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