治らない歯の痛み。抗不安剤の効果
―――前回の続き。
この医師はとにかくよく笑う。「ワハハッ」と大笑いする訳ではなく、常に穏やかに微笑んでいる。
その日から心療内科でもらった薬を服用してみたが、痛みに対する効果がどうこうという以前に、とにかく眠気が酷い。
今までのどの精神薬よりも眠気が強かった。
1日中朦朧としていて、何もする気がせず集中出来ない。
ほとんどずっと寝ている状態になった。
確かに眠れるのだから痛みを感じている時間は少なくて済むが、起きている間はやっぱりシクシクした痛みはある。
この薬が合っているのか、または意味がないものを飲んでしまっているのか分からないが、痛みが続いていると気分も滅入るので、とりあえずは服用する事にした。
そして3回目の歯科受診。
今回は、診察の前にまず、気になっている事をハッキリ相談しようと決めていた。
「原因を絞っていく為にも、やはりCTを撮った方がいいのではないのでしょうか?」
医師に対しして意見するなんて、気を悪くされないかと、この1週間迷っていたが、ネットでいくつか情報を目にすると、はやり他の原因もないか調べた方がスッキリする気がした。
それに担当は何でも話しやすい「森ガール医師」である。
森ガール医師は、嫌な顔ひとつせず、一つ一つ丁寧に説明してくれた。
まず、すでに副鼻腔炎でない事はレントゲンで分かっているという事。
その他にも、膿が溜まっていたり、骨髄炎などまでになるとどういった症状があるはずだ等々、一緒にレントゲンを見ながら詳しく説明してくれ、今の私の状況でCTを撮る意味がないと言った。
一生懸命分かりやすく説明してくれる医師を前にして、とても申し訳ない気分になり、とりあえず今はこれで納得するしかない、と思った。
「分かりました。すみません、お手間をとらせてしまって」と言い説明を受けたテーブルを離れ、いつもの処置をしてもらう事となった。
それでも処置の合間には、
「なかなか痛みがとれないのはどうしてでしょう?」
「心療内科の薬も試してるんですけどね」
などとまだしつこく不安感を口にする私。本当に鬱陶しい患者だ。
だが言い訳をすると、私が黙っていても森ガール医師の方から、「なかなか痛みがとれなくて辛いですよね。私も以前神経とった時はね」などとまるで友達感覚で話しながら治療してくれるものだから、ついこちらも気を許してしまうのだ。
治療している以外の歯もあちこち痛いが、どれも激痛という訳ではない。
辛い時には抗不安剤で頭を朦朧とさせて誤魔化し様子をみるしかなさそうだな……そんな思いでこの日は帰宅した。
――――続きます。
だがその日の夕方から、治療した歯は燃えるように痛み始めた。
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