怖い会話
「2日程は痛むかもしれません」と森ガール医師は言っていた。
普通、治療後の痛みはあるだろう。だが何か違う。
治療前の痛みと変化なくズッキンズッキンと痛みが続く。
さらに治療をした痛みが加わり、治療前より痛くなったような気さえする。
その上、仮の被せモノの高さが合わず、逆の歯で食べようとしてもあたってしまい、3日間、豆腐とゼリーと野菜ジュースで過ごすハメになった。
3日後の診察日。
「どうですか?痛みはとれてきましたか?」と聞かれたが、
いいえ、全く。
今現在もズキズキ疼いています。
この痛さの中、今日は麻酔もせずにまたグリグリするんですよね?かなり痛そうですよね?
医師にそう訴えると、
「神経とってるから我慢出来る程度だと思いますよ」と言い、グリグリ始めた。
ううっ!痛い!!!
しかし、しばらく超絶の痛みを我慢していると、少しずつ痛みが軽くなってきた。
残っていた神経がとれたのだろうか?
それでも森ガール医師はグリグリを続けていたが、「うーん」と何か悩み始め、突然また隣のベテラン医師に何か相談に行った。
そしてそのベテラン男性医師と一緒に戻ってきた。
ベテラン医師は無言でいきなり私の口の中をグリグリし始める。
何だ何だ?怖い。緊張する。
何でもいいから言葉を発して欲しい。
しばらく様子を見ていたようだが、ベテラン医師は、「ホントだね。これ以上いかないね」と言った。
「そうなんです。少し湾曲しているか、狭窄しているか……思いっきり押したらいけそうな気もするのですが、怖くて」と森ガール医師。
聞いてるこっちが怖いわ!
口をあんぐり開けたまま、頭の上での怖い会話を聞いているだけで、もう私の心臓はドキドキバクバク、吐き気はするわで、汗ビッショリ。
全く意味は分からなかったが、とにかく無理はやめてよね、怖い事はやめてよね、そう心で願い、必死でベテラン医師を見つめ、目で訴えた。
「まぁ、ここまで(神経が)とれてたら大丈夫じゃない?いいよ」とベテラン医師。
ホッ、良かった。
そうしてベテラン医師は去っていき、森ガール医師にまた仮被せモノをしてもらって終わった。
前回被せモノが合わず豆腐で過ごした話をすると、今度は低く削ってくれた。
おぉ、これなら何とか逆の歯で食事が出来そうだ。
最初からこうしてくれれば良かったのに……と少しため息。
この日も森ガール医師は色々と手際が悪かった。
救いは本当に優しくて一生懸命で、私の話も真剣に聞いてくれる事。
でも絶対に新人よね……と思い名札を見ると、やっぱり「研修医」の文字が。
それでも、
「今日からご飯食べられそうで良かったです」と私が笑うと、「良かったです~」と一緒に笑う森ガール医師。
何だか憎めない。
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