義父母の家で過ごす夜
――前回の続き。
義父母の家に犬と一緒に行った。
愛犬は慣れない家で落ち着かない様子。
マナーベルトや洋服を着せ、トイレシーツやケージなどの荷物を持って入ると、義母が大袈裟な声を出した。
「まぁ!犬一匹にそんな大荷物がいるの⁉」
犬は相手が自分を好んでいるかそうでないかが分かる。
愛犬も義母には近付こうとせず、部屋に下ろすと真っ先に義父の方に尻尾を振りながら走って行った。
「外じゃダメなの?玄関に繋いでおきなさいよ」
義母は部屋に上げる事を嫌がったが、「私が抱くか、ケージに入れておきますから」と、必死に説明した。
やはり犬嫌いの義母の家に連れてきたのか間違いだったか……早くも後悔し始めていた。
するとその時、いつもは無口な義父が言った。
「いいじゃないの。自由にさせてあげれば」
愛犬を撫でるその様子を見ていると、以前から何となく感じてはいたが、やはり義父は動物が好きなんだと思った。
「お義父さん……ありがとうございます!」
わざとらしく私が感情的に義父に礼を言うと、義母は明らかに機嫌が悪くなったが、それ以上何も言わなくなった。
しかし想像以上に、義父母の家で犬と一緒に過ごすというのは疲れた。
多分、愛犬自身も疲れただろう。
義父母の話し相手をしつつ、愛犬の事も気に掛ける。トイレは漏れていないか?吠えてしまわないか?義母の嫌がる事をしないか気が気でなかった。
これでは自分の家に親を連れて行く方がマシなのかもしれない。
いや、でもそれを一度してしまうと……と一人葛藤しているうちに、義父母は寝てしまった。
それは丁度風の音が強くなってきた頃で、あれ程「怖い怖い」と言っていた義母なのに、よく平然と寝られるものだと呆れた。それとも私が居る事で安心したのだろうか。
結局私は居間で愛犬とテレビを見ながら朝まで過ごした。
翌朝、起きてきた義母に、「ずっと起きていたの⁉」と驚かれたが、不眠症の私にとってはいつもの事だ。
「台風、被害がなくて良かったですね」
私がそう言うと義母は、「また次の台風が来ているらしいわよ。怖いわ」と言い始めた。
既に次の心配……終わりがない。
多分、愛犬自身も疲れただろう。
義父母の話し相手をしつつ、愛犬の事も気に掛ける。トイレは漏れていないか?吠えてしまわないか?義母の嫌がる事をしないか気が気でなかった。
これでは自分の家に親を連れて行く方がマシなのかもしれない。
いや、でもそれを一度してしまうと……と一人葛藤しているうちに、義父母は寝てしまった。
それは丁度風の音が強くなってきた頃で、あれ程「怖い怖い」と言っていた義母なのに、よく平然と寝られるものだと呆れた。それとも私が居る事で安心したのだろうか。
結局私は居間で愛犬とテレビを見ながら朝まで過ごした。
翌朝、起きてきた義母に、「ずっと起きていたの⁉」と驚かれたが、不眠症の私にとってはいつもの事だ。
「台風、被害がなくて良かったですね」
私がそう言うと義母は、「また次の台風が来ているらしいわよ。怖いわ」と言い始めた。
既に次の心配……終わりがない。
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