その言葉を返したい
台風や地震など、自然災害続きで嫌になる。
その災害そのものが怖いのは当然だが、今の私にとってはその都度親が大騒ぎする事の方が気が重い。
今回の台風も義母は「どうするの?前回と同じぐらい大きいらしいわよ」と私に言ってきた。
どうすると言われてもどうしようもない。
水や食料、懐中電灯などを準備し、あとは雨戸を閉めて外に出ないぐらいしか方法はない。
義母にそう言うと、「この古い家でお父さんと二人は嫌よ」と涙ぐんだ。
前回の台風後も、「怖かった、辛かった」を繰り返し、その後何日もその話を聞かされた。
「息子の家に行ってはダメかしらね?家族みんなで集まれば安心でしょう?」
義母はどんどん押してくる。
結局こうなるのか。
しかしここで譲ってしまっては、そのまま同居へと繋がってしまいそうで、何としても避けたい。
幸いと言うべきか、この日夫は出張で家にいない。
「お義母さん、うちに来られても私しかいませんよ?どうしても不安なら私がこの家に来ましょうか?」
そうでも言わないと義母は強引に私の家に来てしまいそうだった。
自分の家に来られるぐらいなら、私が義父母の家で一緒に過ごす方がマシだと思った。きっと長い夜になるだろうけど。
だが義母は私の提案に納得出来ないようで、「だってこの家は古いから……」と渋った。
「大丈夫です、私が一緒にいますから!安心して下さい」
私がいたところで台風にかなうはずは無いが、義母の性格を見ていると、嘘でも安心する言葉を言ってあげると気持ちが落ち着くような気がした。
案の定、「そう?じゃあそうしてもらおうかしらね」と言い始め、私はホッと胸を撫で下ろした。
だが問題がある。
今回の台風は夜に来る。
その間に外出をするとなれば犬だけを留守番させなければならない。
夜遅い上に強い風の音で不安に違いない。
実家に預けるか?
そう考えもしたが、となれば義父母の家に私が行く事を母に言わねばならず、それはそれで母がどう気を悪くするか……。母の愚痴を聞くのが嫌だった。
「犬を一緒に連れてきてもいいですか?」
義母に聞いた。
すると義母、「えぇ⁉あの犬?嫌だわぁ……」と言い、「家に置いておけばいいじゃない。一晩ぐらいどうって事ないでしょ?」と顔をしかめた。
その言葉、そっくりそのままあなたに返したい。
「お義母さんは台風が怖いでしょう?犬も同じです、私が一緒にいないと怖いんです」
「あら、犬も怖いなんて思うのね」
こんな義母の元に愛犬を連れてくるのが心配だったが、どうしても自分の家に親を呼ぶ気になれず、結局犬と共に義父母の家に行く事になった。
――続きます。
案の定、「そう?じゃあそうしてもらおうかしらね」と言い始め、私はホッと胸を撫で下ろした。
だが問題がある。
今回の台風は夜に来る。
その間に外出をするとなれば犬だけを留守番させなければならない。
夜遅い上に強い風の音で不安に違いない。
実家に預けるか?
そう考えもしたが、となれば義父母の家に私が行く事を母に言わねばならず、それはそれで母がどう気を悪くするか……。母の愚痴を聞くのが嫌だった。
「犬を一緒に連れてきてもいいですか?」
義母に聞いた。
すると義母、「えぇ⁉あの犬?嫌だわぁ……」と言い、「家に置いておけばいいじゃない。一晩ぐらいどうって事ないでしょ?」と顔をしかめた。
その言葉、そっくりそのままあなたに返したい。
「お義母さんは台風が怖いでしょう?犬も同じです、私が一緒にいないと怖いんです」
「あら、犬も怖いなんて思うのね」
こんな義母の元に愛犬を連れてくるのが心配だったが、どうしても自分の家に親を呼ぶ気になれず、結局犬と共に義父母の家に行く事になった。
――続きます。
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