在宅介護を自ら選ぶ人
昨日、杉田かおるさんが朝の情報番組に出演されていた。
その内容は、杉田さんが今年他界した実母の介護を振り返る――というものだった。
涙ながらに語るその内容を見て、感動した人も多いのではないだろうか。
しかし私はピクリとも涙はこぼれなかった。
それよりも、あるべき姿を突き付けられたような気がして、介護において正しい事は何なのか?分からなくなった。
杉田さんに子供はいない。
私は親達が、「老後は子供の世話になるのが当たり前」と言う度、「では子供のいない私達はどうなるの?」と反発してきた。
自分の事は自分で。子供がいない人はそれが当たり前なのだ。
少子化の時代。子に頼ろうという時代は終わった。
子の有無に関わらず、介護サービスを利用したり、自立が無理になれば施設に入所する――そうするのが正しいのだと自分に言い聞かせてきた。
だが自分に子供がいなくても親の介護に献身的な杉田さんを見ていると、どれ程自分が身勝手なのか思い知らされた。
杉田さんは自分への見返りは求めていない。
ただ親にしてあげたい、寄り添いたいだけ。それが本当に情が深い人なのだろう。
だが私は……。
私の老後は誰にも頼らないつもりなのだから、親も私に頼らないで欲しい――なんて自己中もいいところ。
こう書きながらも、では気持ちを入れ替え献身的に介護出来るのか?と聞かれれば、そんな自信はない。やはり心のどこかで、親には自立して欲しいという気持ちと、私は非情なのかという気持ちの葛藤がある。
それでもあんな風に、自分自身は頼れる子供がいなくても、それを言い訳にせず親の介護をする姿を見ると、自分の弱さと小ささと醜さを実感する。
少し前にも、大竹しのぶさんが在宅介護の末、実母を看取ったというニュースを読んだ。
あれ程忙しく活躍している人でさえも、介護と両立している――その事実から目を逸らしたくなった。
今の時代という私の言い訳は通用しない。
今の時代だからこそ、自分の意志を持って親を介護する人もいるのだから。
それでも逃げ出したい――と思ってしまう自分自身から逃げ出したい。
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