助手席に乗るのは誰?
彼岸の墓参りに行く事になった。
正直なところ、今までは彼岸といっても何もせず関わる事はなかった。
義兄夫婦と義母の関係が悪くなり、最近は色んな事で親と関わる事が増えた。
今更ながら兄嫁に任せきりだったと実感する。
そう言えばお盆に親族が集まった時、義兄夫婦は墓参りの話題もしていた事があったような気がする。だが私は心のどこかで「長男なのだから当たり前」と思っていたのかもしれない。深く考えなかったし、墓参りぐらい大した事ではない、義姉に負担をかけているという自覚さえなかった。
その罰だろうか。
今その役割が自分になろうとしている。
墓参りには、義父母と夫、そして私の4人で行った。
いつもは夫が仕事でいない事が多い為、今回は夫という壁が出来ると思うとほんの少し気が楽だった。頼りない壁だが何も無いよりはずっといい。
足の悪い義母は遠出する時には杖を使う。
「無理しなくても私達2人で代わりに行くだけじゃダメなの?」
前日、夫に聞いてみた。
本当は義父母と出かけるのを避けたいだけだった。
「それは無理でしょ。僕達は付き添いで主は親なんだから」
「それに母親は自分が行きたいに決まってるよ」
その口調が親を理解している息子、という感じで私との距離を感じた。
当日、車で義父母の家まで二人を迎えに行った。
義父母は準備万端で待っていたらしく、私が車から降りるとあちらも玄関からゆっくり歩いて来た。
「おはようございます」
「おはよう。悪いわね、お手数おかけしますね」
義母はこういう気遣いの言葉が自然と出る人だ。きっと他の人が聞くと、「気遣いのある優しいお姑さんね」と言うかもしれない。だが私はなぜか素直に聞く事が出来ない。
義父母の荷物を受け取り私がトランクに入れている間に、義母は車に乗り込んだ。
それは助手席だった。
――続きます。
本当は義父母と出かけるのを避けたいだけだった。
「それは無理でしょ。僕達は付き添いで主は親なんだから」
「それに母親は自分が行きたいに決まってるよ」
その口調が親を理解している息子、という感じで私との距離を感じた。
当日、車で義父母の家まで二人を迎えに行った。
義父母は準備万端で待っていたらしく、私が車から降りるとあちらも玄関からゆっくり歩いて来た。
「おはようございます」
「おはよう。悪いわね、お手数おかけしますね」
義母はこういう気遣いの言葉が自然と出る人だ。きっと他の人が聞くと、「気遣いのある優しいお姑さんね」と言うかもしれない。だが私はなぜか素直に聞く事が出来ない。
義父母の荷物を受け取り私がトランクに入れている間に、義母は車に乗り込んだ。
それは助手席だった。
――続きます。
よく読まれている記事