一人暮らしの不安
夫の実家ばかりに気を取られ、実母の事は後回しだった。
だが黙って大人しくこちらから連絡するまで待っているような母ではなく、台風の時にはメールと電話の着信が何度もあった。
連絡があるのは元気な証拠。
必要以上に大騒ぎする母を想像すると声を聞きたくなかったが、仕方なく連絡した。
「何度も電話したのよ!あなたの電話、壊れてるんじゃないの⁉すぐ連絡取れなくてどうするのよ?」
あえて何度かスルーしただけなのに、母はそのスマホは使い物にならないと怒っていた。
「大丈夫なの?」
私がそう聞くと、「大丈夫じゃないわよ!」と興奮している。
「何が?」
ウンザリした口調で私は言った。
そこから母は、いかに自分が一人きりで不安だったかを長々と話し始めた。
ニュースを見る度に不安が膨らみ、安定剤を飲んでも眠れなかったし、食事も喉を通らなかったと言う。
「でも被害は無かったんでしょ?」
私がそう言うと、「そういう問題じゃないわ、一人だと何もかもが不安なのよ」と訴えた。
そして言った。
「ころりは台風の時、あちらの実家に行っていたの?」
多分これが一番聞きたかったのだろう。
「違うわよ。私は自分の家にいたし、あちらの両親は自宅に二人でいたわよ」
私がそう言うと、母は少しホッとした様子だった。
「そう。でもあちらのご両親は二人だものね。夫婦でいれば安心よ。私のような一人暮らしとは不安感が違うわ」
母はいかに自分が孤独で不安に暮らしているかを私に分かって欲しいらしい。
「じゃあ次の台風の時にはうちに来る?」
優しさで言った訳ではなかったが、他に言う言葉が浮かばなかった。
本当に家に来られたらどれ程憂鬱だろう……心ではそう思っていた。
だが母は
「そんな事望んでないの。ころりの迷惑にならないように、近くに住むのが一番いいかなって最近思うんだけど……」
母は私の一声を待っている。
「だったら私の近くにアパートを借りましょう」
そう言えばどれほど安心するだろう。
分かってはいるが、私にそんな心の余裕はない。
「ころりは台風の時、あちらの実家に行っていたの?」
多分これが一番聞きたかったのだろう。
「違うわよ。私は自分の家にいたし、あちらの両親は自宅に二人でいたわよ」
私がそう言うと、母は少しホッとした様子だった。
「そう。でもあちらのご両親は二人だものね。夫婦でいれば安心よ。私のような一人暮らしとは不安感が違うわ」
母はいかに自分が孤独で不安に暮らしているかを私に分かって欲しいらしい。
「じゃあ次の台風の時にはうちに来る?」
優しさで言った訳ではなかったが、他に言う言葉が浮かばなかった。
本当に家に来られたらどれ程憂鬱だろう……心ではそう思っていた。
だが母は
「そんな事望んでないの。ころりの迷惑にならないように、近くに住むのが一番いいかなって最近思うんだけど……」
母は私の一声を待っている。
「だったら私の近くにアパートを借りましょう」
そう言えばどれほど安心するだろう。
分かってはいるが、私にそんな心の余裕はない。
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