台風避難は息子の家へ?
今回の台風がくる前から、義母は騒いでいた。
「25年ぶりの強い台風ですって!」
「怖いわー、もし家が飛ばされたら……あー!恐ろしい!」
確かに大きな台風だという事はニュースで報道されていたので大変な事だとは思う。
だが義母が
「私とお父さん、一緒に息子の家に行くわ」
と言い始めた時には「またか」とため息が出た。
「息子の家」とはもちろん私の家の事。
「大丈夫ですよ、そこまでしなくても。私達の地域はそこまで酷くないでしょう」
私はそう言い、何とか義父母が来ることを阻止した。
義母はいつまでも反論し、「もし私達に何かあったらどうするの⁉」と泣きそうな顔をしていたが、私は「何かあれば電話して下さい。すぐ来ますから」と言い押し切った。
義母が一人暮らしならそれも可哀想だと思う。
だが義父が一緒なのだ。
私達の地域がそれ程酷い被害を受けるとは思えず、この程度なら二人で凌いでほしい……そう思った。
そして結局台風の日は義父母から連絡はなかった。
「良かった……」
やはり何も被害は無かったのだ。義母のワガママに流されず、私の意見を通して良かった、そう思った。
そして今日、義父母の家に行くと、義母の表情がいつもと違う。
「こんにちは」
私が挨拶をすると、ムッツリした顔で俯き、こちらを見ようとしない。
「……お義母さん?」
恐る恐る声をかけると、義母は涙声で私に訴えた。
「お父さんと二人で怖かったのよ!大変だったんだから‼」
聞くと、想像以上に強い風で、雨戸の揺れる音が怖くて震えていたと言う。
そこまで?私は感じなかったけど?
義母にそう言うと、「この家は古いからあなたの家とは違うのよ!一度この家に住んでみれば分かるわ!」と怒りは収まらない様子。
確かに義父母の家の築年数はかなり古い。
私達の家と同じ感覚で考えるのは間違っていたのかもしれない。
私は試しに義父にも聞いてみた。
「そんなに凄かったのですか?」
義父は言った。
「お母さんがそう言うならそうだったかもね」
――義父の意志はないのか。
結局どこまで怖い思いをしたのか真実は分からないが、次回の台風からは絶対うちに来るような気がして今から気が重い。
「こんにちは」
私が挨拶をすると、ムッツリした顔で俯き、こちらを見ようとしない。
「……お義母さん?」
恐る恐る声をかけると、義母は涙声で私に訴えた。
「お父さんと二人で怖かったのよ!大変だったんだから‼」
聞くと、想像以上に強い風で、雨戸の揺れる音が怖くて震えていたと言う。
そこまで?私は感じなかったけど?
義母にそう言うと、「この家は古いからあなたの家とは違うのよ!一度この家に住んでみれば分かるわ!」と怒りは収まらない様子。
確かに義父母の家の築年数はかなり古い。
私達の家と同じ感覚で考えるのは間違っていたのかもしれない。
私は試しに義父にも聞いてみた。
「そんなに凄かったのですか?」
義父は言った。
「お母さんがそう言うならそうだったかもね」
――義父の意志はないのか。
結局どこまで怖い思いをしたのか真実は分からないが、次回の台風からは絶対うちに来るような気がして今から気が重い。
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