突然の知らせ
スマホが鳴った。
表示されたその名前を見て驚いた。一瞬出るのを躊躇する。
「……はい」
「ころり?元気?久しぶりだね」
変わらない声。だが不思議と懐かしさを感じない。どこか他人のようだった。
「うん、お父さんは?」
「元気だよ。今電話して良かったかな?また掛け直そうか?」
相変わらず気遣いの人、父らしい。
私の両親は私が大人になってから離婚した。
だが私が子供の頃から別居状態が何年も続いていた為、私の中で父の存在は薄かった。
「私一人で育てた」
それが母の口癖だ。
確かに私達と一緒に暮らし、ずっと傍にいてくれたのは母だけだ。
だが私はこれ程母に対して不満や怒りがあるのに、父に対しては何も感じない。
もっと言えば、父が家を出て行ったのは理解出来るような気がした。
感情の起伏が激しい母。
まだ子供だったので詳しい事は覚えていないが、家に父がいなくなった時、これからはその母の感情を全て私と兄が受け止めるのかと重い気分になったのを覚えている。
父と話したのはいつ以来だろう。
3年ぶりぐらい。
「どうかしたの?」
突然電話をかけてくるなんて何か用があるとしか思えなかった。
すると父は、同居していた女性が先日亡くなったと言った。
私は驚いた。まだ確か60代だったはず。聞くと病気だったらしいが、それも全く知らなかった。
既に親しい人だけで密葬を済ませたと言う。
父はそれらを話し終えると、「それじゃあ、邪魔して悪かったね」と言い、電話を切った。
母は知っているのだろうか。
知らせるべきか……迷っている。
まだ子供だったので詳しい事は覚えていないが、家に父がいなくなった時、これからはその母の感情を全て私と兄が受け止めるのかと重い気分になったのを覚えている。
父と話したのはいつ以来だろう。
3年ぶりぐらい。
「どうかしたの?」
突然電話をかけてくるなんて何か用があるとしか思えなかった。
すると父は、同居していた女性が先日亡くなったと言った。
私は驚いた。まだ確か60代だったはず。聞くと病気だったらしいが、それも全く知らなかった。
既に親しい人だけで密葬を済ませたと言う。
父はそれらを話し終えると、「それじゃあ、邪魔して悪かったね」と言い、電話を切った。
母は知っているのだろうか。
知らせるべきか……迷っている。
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