介護の副産物
出社するなり、私は上司の席に向かった。先日の急な欠勤を詫びる為だ。
「先日は申し訳ありませんでした。週に2日だけなのにさらに欠勤まで……」
5日勤務の人がたった1日欠勤するのとは訳が違う。
たった2日勤務なのに、それさえも休むの?そう思われたのでは……。
だが上司は明るい表情で言った。
「全然そんなの気にする必要はないですよ。それより家の方は大丈夫ですか?」
親の介護だと理由を伝えてあった為、それを気にかけてくれた。
良かった。私の気にし過ぎだ。パートが一人休むぐらい、会社にとっては何も問題ないのだろう。
でもだからといって、やはり気を使う。毎回こんな事ばかりが続くと精神が持たない。
昼休憩にもパート数名と一緒になり、話しかけられた。
「ころりさん、お義母さん大丈夫?」
この職場では情報が筒抜けだ。上司にのみ言ったつもりでも、すぐに他のスタッフに伝わってしまう。
「ありがとうございます。大した事はないんです。すみませんご迷惑をおかけして」
私がそう答えるのを聞いているのかいないのか、そのパート主婦は続けて言った。
「介護って大変よね。分かるわ~」
他の数名も、「分かる分かる」「この年齢になるとあるよねー」と口々に言った。
今までいつも疎外感の中でいた。
子育ての会話をする主婦達の横で、存在しないかのようにひっそり座っていた。
だがこの時、介護の会話で初めて無理なく距離が近付けたような気がした。
嫁の立場から見る姑。
そこに感じるものは皆同じ。
嫌だ嫌だと苦痛に感じている親の介護なのに、それによって今まで苦手だった主婦との距離が少し縮まるなんて皮肉なものだ。
★コメントお返事
>Nさん
いつも親切なコメントありがとうございます。気を使わせてしまってすみません。なかなか変われずいつまでも愚痴ばかりのブログですが、これからも読んで頂けると嬉しいです。
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