優しい病院





1週間程経ち、予約した病院に行く日がきた。

今回は初めて夫に付き添ってもらう事にした。
ほんの2か月前には何も深く考えず一人でフラリと病院に行けたが、今では「病院に行く」というだけで構えてしまい、冷静にいられる自信がなかった。

病院に行く前に、前回も服用した抗不安剤をのんだ。
今回は夫もいるからか少し気分はマシだったが、やはり不安感やドキドキが消えなかった。

この病院で無理なら他はない……そんな気持ちだったので、断られたらどうしよう、ずっと悩み続ける事になる、それが一番の心配だった。


病院につくと意外に混み合っていた。

人が少なそうな場所で夫と二人、椅子に腰をかける。
ジリジリと時間が経つにつれてやはり泣きたい気分になってきた。
静かにバッグからハンカチを出し、目に当てていると、それに気付いた夫が「大変だねぇ」と冗談交じりの口調で苦笑していた。

15分程待ったところで看護師に名前を呼ばれ、診察室に入った。

そこには、「お待たせしましたー!こんにちは!」と満面の笑みの医師が座っていた。

わっ!HPの写真、雰囲気、そのまんま。

私はこれまで行った病院や過程を詳しく説明した。

さらに夫が横から言葉を足した。

「妻は不安症などがあるので、どうしても麻酔で眠った間に手術して頂ける病院でないとダメなんです。他の病院では無理です。こちらでお願い出来ませんか?」



本当はもっと長い文章になるような事を夫が必死に言ってくれていたような気がするが、よく覚えていない。こんな事をお願いするという恥ずかしさと、医師の顔色を伺うのとで精一杯だった。

医師は相変わらず笑みを絶やさず、「うーん、そうかー」と悩んでいる様子だった。

その後もしばらく注意事項や説明を受け、それでも良いのかと確認された後医師は、

「じゃあ、やろうか」と言った。

「お願いします。ありがとうございます」私と夫は何度も頭を下げた。

そうして手術の予約は1か月後になった。

帰る前に、血液検査をするからと、また別室に呼ばれた。

看護師は注射をする前に言った。
「はい、ごめんねー、ちょっとチクッとしますよー」
これはどこの病院でもよく聞くセリフだ。だが次に針を抜く時、

「今から針抜きますね。ちょっとだけ刺激がありますけど大丈夫ですよ」と看護師は言った。

その瞬間、「あ、私気を遣ってもらってる」と実感した。
診察中、特に言葉や顔には出されなかったが、きっとカルテには不安症・欝病などと記入されているだろうし、これらの優しい対応も、それを踏まえての事なのかもしれない。

まるで子供以下だな。
情けない気持ちは消えないが、今はこうして気遣ってもらえる事を有難く思おう。
これ以上自分を責めても悲しいだけだ。
この病院通いが終われば少しでも元気になれるのだろうか。
強い人になりたいなんて欲は言わない。ただいつか弱い人でなくなりたいと思う。




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Posted byころり