転送メール
スマホが鳴った。
実家の母からのメールだった。
先日、電話を切られて以来。
また連絡があるだろうとは思っていたが、早速か――と憂鬱な気分でメールを開いた。
すると突然目に入ってきたのが意外な文面。
「こんにちは。ご無沙汰しています!ご心配ありがとうございます!大きな地震で驚きましたが、こちらは皆無事で……」と、状況報告とお礼の文面が長々と続いていた。
最初、何かの手違いで間違いメールかと思った。
だがそのメールには続きがあり、それを読んだ時に「母らしい……」とため息と共に吐き気がした。
「……以上、山口さんからのメールでした。皆さんご無事で安心しました。やはり助け合いは大切です。思いやりを忘れずに!」とあった。
あの電話の後、母は山口さんにメールで連絡したのだろう。
そしてその返信メールをわざわざ私に転送してきたのだ。
重い。
我が母ながら、ウザ過ぎる。
メールの全文を私に転送までする必要があるだろうか?
普通なら、母なりの言葉で、「連絡取りました。無事らしいです」の一言で良いのではないだろうか?
だがわざわざ山口さんのメールを私に読ませるところに、母の意図を感じる。
「ほらね、こんなに山口さんは喜んでくれたのよ?人との関わりを学びなさい」と言わんばかり。
母からのメールに気分が悪くなったが、これを無視するのも大人げない。
何か返事をしなくては……と思いつつ半日以上過ぎた。
夜になり、一言返した。
「良かったわね」
もちろん、山口さんが無事で良かったという意味もある。
だがもう一つ。
あなたの行動が正しいと証明出来て良かったわね、気が済んだ?
そんな意味もあったが、きっと母は気付かないだろう。
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