怒ってるのは誰?
――前回の続き。
それからしばらくその事は忘れていた。
それ程私の中では重要な出来事ではなかったから。
そんなある日、向かいに座る酒家さんが唐突に言った。
「ころりさん、私怒られたわ」
「え?」
突然で何の事を言っているのか分からなかった。
すると彼女は言った。
「係長に真面目に仕事しろって怒られたのよ」
あぁ、なるほど。先日の件ね。
私は先日の上司の言葉を思い出した。
「そうなんだ」
あまり関わりたくない。私は軽く受け流した。
だが酒家さんは話をやめる様子はなく、続けて言った。
「ショックだわ。私、真面目に仕事してるわよねぇ?どうして怒られなきゃいけない訳?」
どうやら注意された事に余程腹を立てているらしい。
私に慰めて欲しいのか?共感して欲しいのか?
何と返事をするべきか迷ったが、私は「うーん」と苦笑して何も言わなかった。
すると酒家さんが言った。
「係長に、ころりさんも怒ってるって言われちゃった」
!!!
何?どういう事⁉
私の鼓動は早くなり、それまでは酒家さんの顔を見ずにパソコンを見つめたまま相槌をうっていたが、その言葉を聞いた瞬間、酒家さんの目を直視した。
「それどういう事?」
「別にいいよ~、きっと私が悪いのだろうから。今までころりさんにも迷惑かけてたんだろうね。それで係長に怒られたけど」
私は「係長が私が怒ってるって言ってたの?」と追及したが、酒家さんは「もういいの、いいの、私が悪いのだろうから」と繰り返すばかり。
だがその様子を聞いていると、どうやら本当に上司は私の名前を出して注意したようだった。
私はカッとした。
目の前でそれを言う酒家さんにも腹が立ったが、それ以上に上司にムカついた。
どうして注意する時に私の名前を出す必要があるのか?自分だけの意見だと自信をもって注意出来ないのか?
「確かにこの前係長に話しかけられたけど、私は何も怒ってなんかいないし、陰でそんな事言われるなんて心外だわ」
私にしては珍しく、怒りの言葉がスラスラ出た。
だが酒家さんは私の言葉を聞いているのかいないのか、「いいのよ、もう」と言ったまま、その会話は終わった。
何て嫌な日。
誰も信用出来ない……そんな気分になった。
何?どういう事⁉
私の鼓動は早くなり、それまでは酒家さんの顔を見ずにパソコンを見つめたまま相槌をうっていたが、その言葉を聞いた瞬間、酒家さんの目を直視した。
「それどういう事?」
「別にいいよ~、きっと私が悪いのだろうから。今までころりさんにも迷惑かけてたんだろうね。それで係長に怒られたけど」
私は「係長が私が怒ってるって言ってたの?」と追及したが、酒家さんは「もういいの、いいの、私が悪いのだろうから」と繰り返すばかり。
だがその様子を聞いていると、どうやら本当に上司は私の名前を出して注意したようだった。
私はカッとした。
目の前でそれを言う酒家さんにも腹が立ったが、それ以上に上司にムカついた。
どうして注意する時に私の名前を出す必要があるのか?自分だけの意見だと自信をもって注意出来ないのか?
「確かにこの前係長に話しかけられたけど、私は何も怒ってなんかいないし、陰でそんな事言われるなんて心外だわ」
私にしては珍しく、怒りの言葉がスラスラ出た。
だが酒家さんは私の言葉を聞いているのかいないのか、「いいのよ、もう」と言ったまま、その会話は終わった。
何て嫌な日。
誰も信用出来ない……そんな気分になった。
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