愚痴を聞く
パート先で嫌な事があった。
一度何かに躓くと、転がるように落ちていく。
何をしても上手くいかず、全てが裏目に出てしまう。
そんなつもりで言ったんじゃないのに。
どうしてそんな風に受け止められてしまうの?
そんな事ばかり。
ある日、男性上司が私のところに来て、私と一緒に働く酒家さんの事を愚痴った。
「困るんですよねぇ、口ばかり動いて手は動かない人だから」
「はぁ」
私は曖昧に苦笑した。
その上司が愚痴りたくなる気持ちも分かる。
酒家さんとは私と同じパート。週に2日程しか来ないのも私と同じだ。
なのに彼女はこの職場ではすっかり自分の立ち位置を確保し、私から見れば世渡り上手。悪く言えばやりたい放題。
それに対し、誰も強く注意出来ないのが不思議。どうして会社とはこうも理不尽なのだろう。
「あんな人に来てもらっても、こっちは余計な仕事が増えるだけなんですよ」
「はぁ」
私はどう答えればいいのだろう。
「その通り!」と言いたいところだが、職場で悪口はタブー。
酒家さんのフォローをするつもりも、悪口を言うつもりもなかった。
ただ適当に相槌をうち、男性上司の聞き役に徹しようと思った。
「今度ね、ちゃんと彼女に注意しようと思っているんですよ」
「そうですか」
気弱だと思っていた上司だが、黙っていられない程怒りが達しているのだと察した。
そして、やる時はやるのね、と見直した。
――続きます。
「その通り!」と言いたいところだが、職場で悪口はタブー。
酒家さんのフォローをするつもりも、悪口を言うつもりもなかった。
ただ適当に相槌をうち、男性上司の聞き役に徹しようと思った。
「今度ね、ちゃんと彼女に注意しようと思っているんですよ」
「そうですか」
気弱だと思っていた上司だが、黙っていられない程怒りが達しているのだと察した。
そして、やる時はやるのね、と見直した。
――続きます。
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