女一人の荷物持ち
――前回の続き。
無印の店舗に入ると、想像以上の混雑に驚いた。
こんなに混んでいるの?
GWだから?無印良品週間だから?
レジの数も多いのに追いつかず、その前には長蛇の列。
来ている人達は予想通り、家族連れがほとんど。
子供を連れていたり、夫婦やカップル、女友達となど。
一人で来ている人はほとんどいないように見える。
平日なら一人女性が多いのに。
私は足早に収納用品コーナーに向かった。
早く買ってしまって帰ろう。
私が欲しいのはポリプロピレン収納ケース。
深型や大サイズをいくつか購入しようと思っていた。
ただどうやって持ち帰るのか?
上に積めば、2個3個ぐらいは持てない事もない。
この日はその為に車で来ていた。
持てない事はない……だけど。
この人混みの中、大きく積み上げて歩くのか?
とても目立つ。恥ずかしい。
気にし過ぎ?
いやでも……途中で落としたりしたらそれこそ注目の的。
小心者の私が立ち尽くして考えているうちに、隣から手が伸びる伸びる。
どんどん他の客が、同じ収納ケースを買っていくのだ。
収納ケースなんて誰もが頻繁に買うものじゃない。
そう思っていたが、信じられない事に私の欲しいサイズが残り2個となった。
以前来た時にはもっと高く積み上げられていたはずなのに。
どんどん買われているその様子を見ていると、皆夫や息子を荷物持ち係に連れてきている様子。
女性は「これ、2個。こっちは3個」と指示だけ出し、男性が言われるがまま収納ケースを両手いっぱいに持っていた。
結局、この日私は収納ケースを1個だけ買ってきた。
折角行ったのに、たった1個。
あと2個欲しければ、あと2回行かねばならないのか。
こういう事があると、いつも一人で暮らすという事を考える。
今は夫に頼める事もあるが、いつか一人になる事を想定し、何でも一人で平気になりたい。家族だらけの中に入っても平気になれるように。
私はたった1個の無印の収納ケースを眺め、結局種類を揃えられそうもない……とため息をついた。
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