近所でバーベキューの誘い
インターホンが鳴った。
休日のインターホン、嫌な予感がした。誰だろう。
そっとインターホンの画面を確認すると、そこには近所の主婦が二人映っていた。
ますます嫌な予感。
自治会の事か?ゴミ掃除の事か?それとも……一瞬で様々な事を想像した。
居留守を使いたいところだが、近所の人達に居留守を使うのは難しい。
ゴミを捨てる姿、洗濯物を干す姿、新聞を取る様子などを常に見られている。本当に暇な主婦が多い。
玄関を開けると二人はイキイキとした表情と口調で言った。
「おはようございます!」
朝からテンションの違いに圧倒される。
だが彼女達の話はさらに気分を落ち込ませるものだった。
このGWを利用して、近所の皆でバーベキューをしようと言うのだ。一軒の家が庭を提供すると言う。
聞いていると、既に参加する人はほぼ決まっているようで、全部で10世帯ぐらいらしい。
私の心は「嫌」で埋まっていた。
どう断ろうか?そればかり考えていた。
断るならこの瞬間に断らねば。後では断れなくなる。
いつまで経っても子供が減らないこの地域。
子供が成長するとともに、進学や就職でそのうち子供がいなくなり、子有りと子無しの差がなくなると期待していたが、そんな事はない。分譲地が拡大され、新しく若い世帯が増える一方だ。
――続きます。
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