ライバル心
愛犬が美味しそうにオヤツを食べている。
食べた事がない程の美味しさなのか、夢中になってガリガリと噛んでいる。
それはスティック状のサツマイモにササミを巻いたオヤツだ。私は普段、あまり市販のオヤツを与えない。
これは私のパート先の人から頂いた物だ。
折角頂いたので愛犬にあげると、この喜びよう。
その様子を見ている時間だけが、私の心を落ち着かせた。
* * * * * * *
そのオヤツはパート先の男性から貰った。
「ころりさん、これ」
男性から可愛い紙袋を渡され、すぐにホワイトデーのお返しだと分かった。
「お気遣いありがとうございます」
正直、こういうやり取りが面倒なので、バレンタインデーやホワイトデーが嫌いだ。
紙袋をふと見ると、中にチョコらしきお菓子と共に、犬のオヤツが入ってるのが見えた。
「あ、これ……」
驚いて私がそう言うと彼は、
「うん、犬を飼ってるって言われていたので。良かったら」
と言い、ニッコリ笑った。
私はとても嬉しくなった。
彼は30代前半の未婚の若者だ。こんな風に気遣いが出来るなんて。
「本当に嬉しい。ありがとう」
私は心が温かくなり、笑顔でその男性社員と離れた。
が、それも一瞬の事で、次の瞬間、背後から機嫌の悪い声が聞こえた。
「今の、何?」
酒家さんだった。
近くにいるのは気付いていた。
だが私が特別ではない。彼は全ての女性のお返ししているはずだ。実際、酒家さんのデスクの上にも、今貰ったばかりと思われる私と同じ紙袋が置かれていた。なのに酒家さんは猛烈に機嫌が悪かった。
「ホワイトデーのお返しだと思うけど?」
私はそう返したが、そのまま酒家さんから返事は無かった。
その後、彼女とは会話していない。私の何かが彼女を怒らせてしまった。
あぁ……本当に女性がいない職場に行きたいと心から思う。
彼は30代前半の未婚の若者だ。こんな風に気遣いが出来るなんて。
「本当に嬉しい。ありがとう」
私は心が温かくなり、笑顔でその男性社員と離れた。
が、それも一瞬の事で、次の瞬間、背後から機嫌の悪い声が聞こえた。
「今の、何?」
酒家さんだった。
近くにいるのは気付いていた。
だが私が特別ではない。彼は全ての女性のお返ししているはずだ。実際、酒家さんのデスクの上にも、今貰ったばかりと思われる私と同じ紙袋が置かれていた。なのに酒家さんは猛烈に機嫌が悪かった。
「ホワイトデーのお返しだと思うけど?」
私はそう返したが、そのまま酒家さんから返事は無かった。
その後、彼女とは会話していない。私の何かが彼女を怒らせてしまった。
あぁ……本当に女性がいない職場に行きたいと心から思う。
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