気にしないで
朝早く電話が鳴った。
早いと言っても9時過ぎだが、未だに朝起きるのが苦手な私にとっては、ようやくベッドから出て溜息をついている時間だ。
ナンバーディスプレイを見ると、実家の母だった。
「やっぱり……」
こんな時間に電話してくるなんて母ぐらいだ。
私は居留守を使った。
私以外誰もいないこの家で、いつまでも電話の呼び出し音が響き渡る。
――早く留守電になればいいのに。
ここしばらく母と話していなかった。
母にとって、一週間以上私と会話がなければ「久しぶり」となる。その期間が長くなる程、次に会話する時には機嫌が悪い。
ようやく電話が留守電に切り替わった。
ホッとした。
母は留守電にメッセージを入れる事はない。
私の夫が聞く可能性もあるから。
鬱陶しい義母だと思われたくないらしい。娘がどう思うかは気にしないのに。
朝から憂鬱な気分になった。
もう一度毛布を被って眠ってしまいたい気持ちになったが、心がモヤモヤし過ぎてそれも出来なかった。
するとその直後、「ピピッ!」と音が鳴った。
椅子の上に置いていた私のスマホだ。
まさか……。
スマホを手に取り画面を開くと、やはり母からのメールだった。
モヤモヤしていた私の心が更に暗く沈む。
冷えた指先で静かにメールを開いた。
「ころり、元気にしていますか?今家に電話しましたが留守のようでした。忙しいのですね。電話の着信は気にしないで下さい」
母らしい内容だ。
こう書きつつも、きっと明日も母から電話がある。絶対に。
母の「気にしないで」は「気にして欲しい」というメッセージだから。
もう一度毛布を被って眠ってしまいたい気持ちになったが、心がモヤモヤし過ぎてそれも出来なかった。
するとその直後、「ピピッ!」と音が鳴った。
椅子の上に置いていた私のスマホだ。
まさか……。
スマホを手に取り画面を開くと、やはり母からのメールだった。
モヤモヤしていた私の心が更に暗く沈む。
冷えた指先で静かにメールを開いた。
「ころり、元気にしていますか?今家に電話しましたが留守のようでした。忙しいのですね。電話の着信は気にしないで下さい」
母らしい内容だ。
こう書きつつも、きっと明日も母から電話がある。絶対に。
母の「気にしないで」は「気にして欲しい」というメッセージだから。
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