売れ残り
年末が近づいたある日、私はホームセンターにいた。
そこにはペットコーナーがあり、愛犬のペットシーツとおやつを買う為にその場に向かった。
こういう場所に来ると、ついつい展示販売されている犬や猫を見てしまう。
動物をこんな風に展示販売する事は反対だ。
小さな子達が愛情を受けずに、ただ箱の中に閉じ込められているなんて辛すぎる。
ドイツなどのようにペットシェルターやブリーダーから譲り受ける制度になって欲しい。
そう思っているのに、展示販売されているぬいぐるみの様な小さな子達を見ていると、おもわず嬉しそうにニコニコしてしまう自分が憎らしい。
信念が弱すぎる。これだから結局日本のペット販売事情は変われないのだろう。
この日もその展示販売されている犬や猫を眺めた。
すると、小さなポメラニアンに目を奪われた。
ペットとは不思議なもので、相性がある。
まさに目と目が合った瞬間、ピンとくる。
それは種類や性別、大きさなどは関係なく、本当に相性としか言いようがない。
ジッと私の顔を見つめるそのポメは、本当に愛らしくて連れて帰りたい衝動にかられた。
小さいながらもワンパクでヤンチャそうな雰囲気が漂っている。
ピョンピョンと飛び跳ねて嬉しそうに笑っているように見えた。
しかし私にはこれ以上ペットを増やすのは無理だ。
その前で20分程ウロウロしていたと思う。
離れるのが名残惜しかった。
帰宅してから夫に話すと、
「そんなに可愛い子ならすぐに売れるよ。家族が出来るだろうから忘れなよ」と言われた。
それからそのホームセンターにはしばらく行かなかった。
もしまだあの子がいたら……そう思うと行けなかった。
だが今日、久しぶりにそのホームセンターに行った。
昨年このホームセンターに来た時から2か月近く過ぎている。
きっとあのポメはいないに違いない。いないで欲しい。
そう願いながら恐る恐る売り場を覗いた。
そこには少し成長したあの子がいた。
2か月前と変わらず、ジッと前を見つめ、私と目が合った。
しかし昨年と印象が違った。
元気いっぱいで嬉しそうで表情豊かな子だったのに、今日の顔には表情が無かった。
偶々かもしれない。
だが、この大切な仔犬の時期に小さな箱に閉じ込められ、愛情を受けない事により、無表情な子になってしまったのではないか……そう思えた。
悲しい。どうにかならないものか。自分の無力さに腹が立つ。
私は静かにその場を去った。
帰宅後、愛犬が嬉しそうな顔をして走り寄ってきた。
私は胸が締め付けられ、愛犬をギュッと抱きしめるしかなかった。
「そんなに可愛い子ならすぐに売れるよ。家族が出来るだろうから忘れなよ」と言われた。
それからそのホームセンターにはしばらく行かなかった。
もしまだあの子がいたら……そう思うと行けなかった。
だが今日、久しぶりにそのホームセンターに行った。
昨年このホームセンターに来た時から2か月近く過ぎている。
きっとあのポメはいないに違いない。いないで欲しい。
そう願いながら恐る恐る売り場を覗いた。
そこには少し成長したあの子がいた。
2か月前と変わらず、ジッと前を見つめ、私と目が合った。
しかし昨年と印象が違った。
元気いっぱいで嬉しそうで表情豊かな子だったのに、今日の顔には表情が無かった。
偶々かもしれない。
だが、この大切な仔犬の時期に小さな箱に閉じ込められ、愛情を受けない事により、無表情な子になってしまったのではないか……そう思えた。
悲しい。どうにかならないものか。自分の無力さに腹が立つ。
私は静かにその場を去った。
帰宅後、愛犬が嬉しそうな顔をして走り寄ってきた。
私は胸が締め付けられ、愛犬をギュッと抱きしめるしかなかった。
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