ウザイ人
犬の散歩から帰宅すると、道を挟んだ斜め向かいの家に主婦が立っていた。
あちらは仕事から帰宅したところといった様子。
目が合い、「あら、ころりさん」と声をかけられた。
彼女は開けかけていた玄関ドアから手を離し、私の方にツカツカと歩いてきた。
「こんばんは」
私がそう言うと、「この前、うちの子が言ってたわ。ころりさんに家に入らないかって言われたって」と、いきなり話始めた。
彼女は先日の記事に書いた男子の母親だ。
※先日の記事→空回り
正直、私は彼女が近付いて来た時、お礼を言われるのかと思った。
だが彼女の言い方。
「ころりさんに言われた」
これをどう受け取るべきなのだろう。
彼女は怒っている風でも責めている様子でもない。
顔が笑顔で、笑いながら……でも何か含みのある言い方に聞こえた。
だが私は何も気づかないフリをして出来るだけ軽く明るく言った。
「そうなの。寒そうに門の前で座っていたし、凄い吹雪だったでしょう?良かったらうちの家で待たないかなと思って」
するとその主婦、
「ない、ない」と顔の前で手を横に振りながら、大袈裟に笑った。
「今の子ってそういうのないわー」
……心が重くなった。
やっぱりやめておけば良かった、余計な事だった。
だが私は謝らなかった。どう答えて良いのか分からなかったから。
その後も主婦は笑いながら、
「部活であんなの慣れてるのよ」とか
「日頃話さないオバサンに声かけられてビックリしたみたい」とか言っていた。
私は彼女に合わせて、「そっかー」「そうよね」と笑いながら返した。
その後、「じゃあねー」と彼女は家に戻った。
最後までお礼の言葉も、私が男子に渡した傘も返ってこなかった。
私は単にウザイ人だったのだろう。
だが、こんな事も相手によれば、温かく受け取ってくれる人もいるように思う。
ただ近所にそんな人がいないだけ。それが悲しい。
「ない、ない」と顔の前で手を横に振りながら、大袈裟に笑った。
「今の子ってそういうのないわー」
……心が重くなった。
やっぱりやめておけば良かった、余計な事だった。
だが私は謝らなかった。どう答えて良いのか分からなかったから。
その後も主婦は笑いながら、
「部活であんなの慣れてるのよ」とか
「日頃話さないオバサンに声かけられてビックリしたみたい」とか言っていた。
私は彼女に合わせて、「そっかー」「そうよね」と笑いながら返した。
その後、「じゃあねー」と彼女は家に戻った。
最後までお礼の言葉も、私が男子に渡した傘も返ってこなかった。
私は単にウザイ人だったのだろう。
だが、こんな事も相手によれば、温かく受け取ってくれる人もいるように思う。
ただ近所にそんな人がいないだけ。それが悲しい。
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