重荷でしかない
兄の妻には妹がいる。
その妹が甥や姪をとても可愛がっているようだ、というのはいつも母からよく聞かされていた。
「あちらの妹さん、すごく二人の事を可愛がってるんだって。遊びに連れて行ったり、頻繁にお小遣いを渡したり」
だから?
母にそう言われる度に私は内心モヤモヤしていた。
その妹、佳代子さんというのだが、私は兄が結婚する時に一度顔合わせしただけだ。それ以降会った事はないので顔も忘れてしまった。
佳代子さんは私と同年代で独身。
私と同じで、彼女もこの先子供がいない人生だろう。
だが私と違うのは、子供がいない分その愛情を目一杯、甥や姪に注いでいるらしい。
「佳代子さん、あの子達の事が可愛くて仕方がないんだって」
と母が言う。
だから?
いちいち母のその言い方が気になる。
「ふーん、それはいいわね」と私が言うと、「そうなのよ!だからあなたもね」と母。
甥達から見れば、叔母という同じ立場の私と佳代子さん。
その二人の接し方があまりにも違う事に、私の母が不満を持っている事をヒシヒシと感じる。
あちらの妹さんがお小遣いを渡しているんだから、あなたも。
あちらの妹さんが遊びに連れて行ってるんだから、あなたも。
母の思いが強すぎて、私は吐き気がしてくる。
いいじゃないか。
孫が嫁サイドの家族になっても。
それで孫が幸せならそれでもいいじゃないか。
少なくとも、それ程孫と距離を縮めたいなら、母自身が気が済むまで孫を可愛がればいい。
だがそれと同じものを私に求めるのはやめて欲しい。
なぜ私と甥達の関係を無理に近づけようとするのか。
重荷でしかない。
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