ギリギリ
夕食時、夫と会話していると、私の昔の友人の話になった。
「麻子さん、まだ結婚していないの?」と夫。
「年賀状では結婚していないみたいだったけど……今どうしているのか知らないわ」と私は答えた。
夫は、「もう焦らないとギリギリだろ?」と言った。
「何が?」
「だって年齢、いくつだっけ?」
「多分、今年41歳」
私がそう答えると、夫はやっぱりという顔をして、「ほら、もう子供を生むにはギリギリだろ?」と言った。
親戚や職場で嫌という程言われたセリフを夫が言うなんて。
「別に……仕事頑張ってるんじゃない?」と言うと夫は
「でも子供がいないと老後はやっぱり寂しいだろ」と返した。
ズキッ。
それはもう友人の話ではなく、私達の話に感じられた。夫の本心なのでは。
「それって、あなたが子供が欲しかったって事?老後が寂しいって事?」私は夫を問い詰めるような口調で言った。
すると夫は
「それはそうだろ。寂しいだろ。お互いどちらかが亡くなったら一人になるんだから」とダメ押しの言葉を言った。
確かにそうだ。
私も常に思っている事。何度もブログで吐き出してきた事。
だけど同じ言葉を自分が言うのと夫から聞くのとでは違う。何だかとても胃がキリキリした。
「でも、もう年齢的に子供が欲しいと思えないって言ってたじゃない?」と私は更に夫を責めるように言った。
「そうだよ。今の年齢ならもう無理だよ。だけど、もっと若い頃に早く子供を作っておけば良かったな……って思うだけ」
聞きたくない言葉。
夫は素直に言っているだけだろうが、どの言葉も私の心に突き刺さる。
今頃そんな事言うなんてズルい。それはお互い思っていても言葉にせずいたいのに。
私が落ち込んだ顔をしていると、夫は「別にころりを責めている訳じゃないよ。事実を言っただけ」と言った。
なのになぜだろう。責められている気がしてしまうのは。
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