自分勝手な話
私と夫、共通の知人がいる。
その人も子無し夫婦だ。
それ程付き合いがある訳ではないが、どこか彼ら夫婦の存在が安心感のようなものを与えてくれていた。少なくとも私にとっては。
私達と同年代の夫婦で、初婚同士だが晩婚だった。
30代後半で結婚したが、子作りを焦る事なく、二人で新婚生活を楽しんでいるようだった。子供がいれば出来ないような、旅行や趣味を二人で満喫していた。その頃私は既に子供の事で焦り始めていた為、そんな風に自然体で過ごせる夫婦が羨ましくもあり、不思議でもあった。
子供はどうするのだろう?海外旅行なんてしている場合なのだろうか?
余計なお世話だが、どうして不安にならないのか教えて欲しいぐらいだった。
そうして2~3年経ったある日、夫がその知人と会った。
帰宅した夫は言った。
「彼らも不妊治療を始めたらしいよ」
そうか。やっぱり。
始めるのが遅すぎるような気もしたが、そういう人達に限ってすぐに授かるのかもしれない。そんな気がした。
次に彼らに会う時には、奥さんは妊娠しているんじゃないか?
そう思うと取り残され感でいっぱい。
だが私の対抗心は無駄なようだった。
それからも彼ら夫婦にも子供は出来なかった。
それでも私は毎年彼らの年賀状を見る度ドキドキした。
今年こそおめでたの報告があるのではないか?そう思いながら写真付きの年賀状を確認し、スリムな奥さんのお腹を見てホッとする。そんな日々が続いた。
私と同じであって欲しい。子無し夫婦が身近にいて欲しい。
他人の不幸を願う嫌な自分。
そして先日、私達夫婦は偶然その知人に会った。
「お久しぶりです」
と挨拶し、私は「奥様はお元気ですか?」と尋ねた。ここでもまだ、もしかして妊娠したのかしら?と気にしてる自分がいた。
すると次にその知人は予想外の事を言った。
「実は離婚したんですよ」
あまりに驚き過ぎて私達夫婦は言葉が出なかった。
少し前まで不妊治療を頑張っていると聞いていたから。
当然離婚の理由などは聞けず、会話は曖昧なままその場を別れた。
「どうしたんだろう?あんなに仲が良さそうだったのに」と私は夫に言った。
毎年の送られてきた彼らの年賀状。旅行先でのツーショット写真を思い出す。
「子供が出来なかったからだろ」
と夫は言った。
なんだか悲しい。子供がいなくても仲良く暮らす夫婦でいて欲しかった。
彼らに子供が出来ても取り残され感。
彼らが離婚しても取り残され感。
自分勝手な話。
他人の不幸を願う嫌な自分。
そして先日、私達夫婦は偶然その知人に会った。
「お久しぶりです」
と挨拶し、私は「奥様はお元気ですか?」と尋ねた。ここでもまだ、もしかして妊娠したのかしら?と気にしてる自分がいた。
すると次にその知人は予想外の事を言った。
「実は離婚したんですよ」
あまりに驚き過ぎて私達夫婦は言葉が出なかった。
少し前まで不妊治療を頑張っていると聞いていたから。
当然離婚の理由などは聞けず、会話は曖昧なままその場を別れた。
「どうしたんだろう?あんなに仲が良さそうだったのに」と私は夫に言った。
毎年の送られてきた彼らの年賀状。旅行先でのツーショット写真を思い出す。
「子供が出来なかったからだろ」
と夫は言った。
なんだか悲しい。子供がいなくても仲良く暮らす夫婦でいて欲しかった。
彼らに子供が出来ても取り残され感。
彼らが離婚しても取り残され感。
自分勝手な話。
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