追い詰められた心
――前回の続き。
その皮膚科からはある個人の形成外科を紹介されたのだが、HPの印象があまり良くなかった為、腸の為にお世話になっている総合病院で、形成外科を受診する事にした。
その時には既にネットで調べつくし、入れすぎた「無駄な情報」によって自分で自分の精神を追い詰めていた。
総合病院の形成外科の待合で待つ。
しかし、胸のドキドキが治まらない。手が震えている。深く息が吸えない。掌は汗でビッショリだ。
そういう状態に陥っている自分を感じ、さらに焦って不安になる。
ずっと以前からバックにしのばせてある軽い安定剤を2錠のんだ。
薬に頼るのが嫌いな私が、迷いもなく服用するのは珍しい。
とにかく楽になりたい一心だった。
しかし薬が効かないのか、待ち時間が足りなかったのか、落ち着く前に名前を呼ばれてしまった。息苦しいまま診察室に入る。
担当医師は、それほど緊張する事なく話せそうな人だったので少しホッとする。
やはりこちらの医師も、「完治させるのには手術するしかないですね」と言った。
「それは今すぐではなく、後日予約になるのですか?」と私。
ネット情報によると、軽度の人だとその日に簡単に切ってしまう人もいるらしかったので。
しかし医師は、「そう、予約になります。今からだと早くても10日後ぐらいです」と言った。
その場で切ると言われてもうろたえたと思うが、予約と聞くと更に気分が凹む。その日までの自分の精神状態を思うと耐えられるのか自信がない。
そして、言葉に詰まり悩んでいる様子の私を見て医師は、「でも見たところ小さそうですし、これぐらいの大きさだったら絶対とらなくてはダメって訳でもないですよ」と言った。
「このままずっと持ち続けている人もいますしね。良性ですから。それに、その程度の大きさだと、かえって傷痕の方が目立ってしまうかもしれません。 私個人としては、今は様子をみるだけでいいんじゃないかと思いますよ」
恐怖心で震えていた私は、その言葉に救われるような思いで、「そうですか。ではこのまま様子をみます」と答えた。
しかしその後、医師は「また腫れてくるような事があれば、その時は切るしかないけどね」と言った。
なんだか単に嫌な事を先延ばしにしただけのような……そんな気分のまま診察室をあとにした。
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