優しい人
昔ある人に言われた事がある。
「母親に優しい息子は妻にも優しい」
私が義母と夫の関係で愚痴を言った時の事だ。
私だけが夫の家族と考え方が違う。分かり合えない。どうして夫はあそこまで母親の意見を尊重するのだろう……
そんな愚痴だった。
するとそれを聞いていた年上の女性が、「気持ちは分かるけど、母親に優しい男性はいいわよ。妻にも優しいって事だから、ころりさんも大切にしてもらえると思うわよ」と言った。
その時は夫に対して不満がいっぱいで納得出来なかったが、あれから色々な事があった。
夫にどれだけ助けられた事か。夫の優しさがあったからこそ今の自分がいる。
今思い返すと、あの時の女性の言葉にも納得出来る。そうかもしれない。
そう思うと夫が私に与えてくれた愛情を、今度は私から夫の母に返すべきではないだろうか?きっとそれが正しい。それが美しい。
だけど私はそんな美しい心になれない。
先日私は夫に言った。
「私達は子供がいないから、誰にも頼れないよ?自分の事は自分で何とかして生きていくんだよ?介護施設を利用するでしょう?今は他の人もそういう時代じゃない?」
本当にそう思う。出来る限り自分の事は自分で。そういう時代だと思っていた。
だけど夫は、
「僕達は子供がいないから自分で責任を持つのは仕方がないけど、親には折角僕達がいるんだから、わざわざ他人に任せるのはどうかと思うけど」
そして更に言った。
「僕はとにかく後悔したくないんだよ。親が亡くなった後、もっとこうしてあげれば良かったと思いたくない」
それは分かるけど。
夫が正論を言い過ぎて私が悪人に思える。冷酷な妻。
「そんなに親が大切なんだね」
嫌味ともとれるような言葉を私は吐いた。
夫は言った。
「それはころりに対しても同じだよ。ころりが幸せにいられる様に出来る限りの事をしてあげたいと思っているから」
私は昔言われたあの言葉を思い出した。
自分に優しい人を求めるという事は、結局親への愛情も深い人なのだとつくづく実感する。
私が幸せでいられるようにと言ってくれる夫。
親と同居すると私は不幸になる……とまでは言えなかった。
だけど夫は、
「僕達は子供がいないから自分で責任を持つのは仕方がないけど、親には折角僕達がいるんだから、わざわざ他人に任せるのはどうかと思うけど」
そして更に言った。
「僕はとにかく後悔したくないんだよ。親が亡くなった後、もっとこうしてあげれば良かったと思いたくない」
それは分かるけど。
夫が正論を言い過ぎて私が悪人に思える。冷酷な妻。
「そんなに親が大切なんだね」
嫌味ともとれるような言葉を私は吐いた。
夫は言った。
「それはころりに対しても同じだよ。ころりが幸せにいられる様に出来る限りの事をしてあげたいと思っているから」
私は昔言われたあの言葉を思い出した。
自分に優しい人を求めるという事は、結局親への愛情も深い人なのだとつくづく実感する。
私が幸せでいられるようにと言ってくれる夫。
親と同居すると私は不幸になる……とまでは言えなかった。
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