今年のチョコ
バレンタインデーといえば、昨年の苦い思い出が蘇る。
「抜け駆け」
あれから一年も経ったのか。
つい先日の事のように感じられるが、それは歳のせいか。
あれから私と酒家さんの関係は少しずつ変化したように思う。
この記事を書くにあたり、一年前の記事を再度読み返してみたが、あぁこんな関係だったのね……と他人事のように感じる面もあるし、いやいや今でも同じような事は時々あるな、と思う事もあり。
一年前には一人独断で義理チョコ配りをした酒家さんだったが、今年は私に声をかけてくれた。
私自身も今年はどうすればいいのか気になっていた。昨年は日曜日だったので良かったが、今年は火曜日。その火曜日がなんと私と酒家さんの丁度出勤日になっているのだ。たった週に2日が丁度当日にあたるなんてアンラッキー。
そう最初は思ったが、昨年のように自分の知らぬ間に事が進んでいて気まずい思いをするのなら、当日自分も参加する方がずっと気楽に済むと思った。
なので、そろそろこちらからどうすればいいのか聞いておかねばと思っていた矢先、酒家さんから声をかけれられた。
「パートは皆で一緒にお金を出し合って渡すらしいですよ。だから派遣の私ところりさんは二人で合わせて渡しませんか?」
「はい!そうします!」
嬉しかった。
酒家さんから一緒にしようと声をかけてくれた事が。
昨年からすれば大きな進歩だ。
「じゃあ、買うのはどうします?」
いくらぐらい?誰が買いに行く?それとも一緒に?
相談を始めたのだが、酒家さんは
「申し訳ないんだけど、子供の用事が立て込んでて……。ころりさん、買うのをお任せしていいですか?」
どうしよう。
こういうのは苦手だ。
自分の分だけを買うのならいいが、誰かと一緒に渡す物を代表で買いに行くというのが苦手。
これでいいのか?他の人なら違うものを選ぶかも。悩んで疲れる自分が目に浮かぶ。
何より年々決断力が落ちている私にとって、一人で買い物をする事が本当にキツイ。
しかし酒家さんに「子供の用事」と言われてしまっては、子無し暇主婦の私としては返す言葉がない。
「いいですよ」
あぁ、また断れない私が出てしまった。
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