同じじゃない





派遣先の50代新人パート。
もうそろそろ新人とは呼べないのかもしれないが、未だに彼女は職場では浮いた存在のようだ。

私もあれから関わる事はほとんどなかったのだが、先日出勤した時に珍しくその50代女性と二人きりになる時間があった。上司にある仕事を手伝うように言われ会議室まで行くと、先に来て座っていたのが彼女だった。

まだ誰も来ていない会議室で二人きり。気まずいが私からは何も話さなかった。また墓穴を掘りそうで怖い。

すると相手の方から話しかけてきた。

「ころりさんってご結婚されているんですよね?」

「はい」

「ご両親は?」

「健在ですけど、そろそろ介護も必要になってきそうな年齢です」

「うちなんて既に今介護が必要ですよ」

ハハハッと互いに苦笑し、先日と違い穏やかに会話出来ている事にホッとした。だが私の苦手意識はずっと奥にあり、内心早く誰か来てくれないか……と願っていた。

「私なんて姉妹がいないから、親の介護するのもこの先を考えると負担ですよ」と彼女が自分の身の上話をし始めた。
「その上子供もいないから、自分が老後になった時には介護してくれる人もいないですからね」と明るく、でもどこか本音も含んだような表情で言った。

「それなら私も同じですよ。子供がいないので自分の老後はどうなるんだろう?ってよく考えます」と私も正直に答えた。


なかなか子供がいない人と出会う機会は少ない。主婦と呼ばれる人の中にいると、大抵が子供の話ばかりで孤独を感じる。

だが珍しく「子供がいない。老後が不安」と口に出して言える相手がいた。性格的にはとても合いそうもない人だが、そんな事より環境が似ているというだけで一気に距離が縮まった気がした。

考えてみれば、家の外で他人に対してこんな事を口に出して言ったのは初めてではないかと思う。

だが私のその気を許した一言が、相手には違うように受け取られた様だった。

「全然同じじゃないですよ!ころりさんにはご主人がいるじゃないですか!それがどれだけ羨ましいか。私ならそれで十分ですよ」と言った。

私は言葉に詰まった。
確かに彼女の言う通りだ。

私は能天気に環境が似ているなんて思ってしまったが、ただ子供がいないという共通点だけでそれ以外は何一つ同じではないのに。

私は以前子供がいる女性と話していた時、「子供がいても一緒よ。将来は不安なのは同じ同じ」と彼女が言うのを聞いて、「そうよね」と合わせておいたが内心は、「この私の不安な気持ちはあなたには分からないでしょう」と思った。
やはり子無しの気持ちは子無しにしか分からないと。

それと同じように今回のパート女性も、簡単に未婚と既婚を「同じ」と並べられると納得いかないのはよく分かる。
私の配慮が足りなかった。

しかし反面、彼女に「夫がいないって孤独よ」と言われた時、どう答えて良いか本当に困ってしまった。
こういう会話は言う側にも配慮が必要な気がする。気持ちをぶつければいいというものでもない。

私も時々、初対面の人と話す時に子供の事を聞かれ、「いません」と答えた時の相手の気まずさを何度も感じた。
自分が落ち込んだり気にしたりするのは自由だけれど、相手に気を遣わせない上手い言い方が出来ればいいのだけれど。




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Posted byころり
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